農林中央金庫は、ウイングアーク1stのクラウド帳票サービス「SVF Cloud」を採用し、業務プラットフォーム「ServiceNow」と連携する帳票出力基盤を構築した。10月27日、ウイングアーク1stが発表した。ServiceNow側のカスタマイズを最小限に抑えながら、帳票を一元管理できる体制を整えたという。受発注購買管理システムの帳票18種類、年間5万枚規模の出力を11月に本稼働させる予定だ。
農林中央金庫は、農業協同組合(JA)や漁業協同組合(JF)、森林組合(JForest)など、農林水産業者の協同組織を会員とする民間金融機関。1923年に設立され、JAバンクやJFマリンバンクの事業を支えるリテールビジネスのほか、農林水産業や食農バリューチェーンに関わる顧客への金融サービス、国内外での投融資などを手掛けている。
同金庫は業務効率化や業務の堅確性、収益向上に向けて、ServiceNowを中心としたデジタル化を進めてきた。稟議や各種申請に使っていたワークフローシステムをServiceNowに刷新し、現在はグループ全体で約7000人が利用している。申請・承認プロセスの簡素化や承認の迅速化にもつながっているという。
一方、ServiceNowの活用範囲が個別性の高い業務や金融機関特有の業務に広がるにつれて、帳票出力が課題として浮上した。受発注購買業務や資金動向管理、出資者向けポータルなど帳票出力が欠かせない業務が多く、押印や可変長の住所を所定の位置に正確に配置することも求められる。帳票ごとにServiceNow上で個別開発すると、初期開発に加えて業務変更のたびに改修が必要になり、保守の負荷が大きくなる懸念があった。そこで、ServiceNowと帳票出力の仕組みを切り分ける方針を定め、ServiceNowとの親和性や帳票の表現力、開発・保守のしやすさ、将来の拡張性を評価してSVF Cloudを採用した。
帳票システムの開発は4月に開始した。同金庫はSVF Cloudについて、GUIで帳票を開発でき、フォーマットに沿って効率的に作成できる点に加え、日本語のドキュメントやQ&Aといったサポート体制も利点として挙げている。新たな仕組みでは、ServiceNowに入力されたデータを他のマスター情報とひも付けてSVF Cloudで帳票を出力し、PDFやExcel形式で契約システムや「Box」に格納する。資金動向システムでも50種類の帳票に対応する基盤を整え、2027年4月の公開を予定している。本稼働前の段階でも、ServiceNowへの機能集約とBoxとの連携により、Boxへの文書保存が自動化されるなど利便性は向上しているという。
同金庫グループは、ServiceNowやBoxの導入・活用で蓄積した知見を外部向けのビジネスとして展開する方針だ。農林中央金庫ビジネス共創部の担当者は「外部企業へのServiceNowやBoxの導入支援を2025年4月から始めている。自社で実際に悩み、試行錯誤しながらDXを進めてきたからこそ、導入時につまずきやすいポイントや現場に定着させる工夫も伝えられる。この経験を生かし、今後もお客さまの業務変革と新たな価値の創出を目指す」とコメントしている。