NBA、AWSのAIプラットフォーム活用でファンエンゲージメントを刷新

2025年10月2日11:09|ニュースCaseHUB.News編集部
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 全米バスケットボール協会(NBA)は、Amazon Web Services(AWS)と複数年にわたる新たなパートナーシップを結んだ。10月2日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが発表した。この提携により、AWSはNBAおよび関連リーグの公式クラウドならびにクラウドAIパートナーとなる。リーグ全体のデータ活用を加速させ、AIを活用した高度なスタッツなどをファンにリアルタイムで提供することで、試合への関わり方を深め、グローバルなファンエンゲージメントの強化を図る。

 NBAとAWSは、パートナーシップの一環として、新たなバスケットボールインテリジェンスプラットフォーム「NBA Inside the Game powered by AWS」を立ち上げる。これは、NBAが保有する数十億のデータをインサイトに富んだ体験に変え、世界のファン体験を再定義することを目指す。

 このプラットフォームはAWSのAIインフラストラクチャ上に構築され、ライブ中継の強化や、NBA公式アプリ、NBA.comウェブサイト、リーグのソーシャルチャンネルといったデジタルプラットフォームにおけるファン体験の向上に貢献する。AWSはNBAに加え、WNBA、NBA Gリーグ、バスケットボールアフリカリーグ、NBA Take-Two Mediaの公式クラウドおよびクラウドAIパートナーに選定されている。

 NBAは、AWSのAI技術を活用し、試合中にライブでスタッツと包括的な分析をファンに提供する。この高度な統計プラットフォームは、選手のトラッキングデータを処理し、機械学習とAIで選手の体の動きを29の部位から分析。試合の流れに沿って解釈した上で、リアルタイムにインサイトを生み出す。

 ファンは2025-26シーズンを通して、これまで測定されることのなかったパフォーマンスの一面を捉えた、従来の統計では計測できなかった個々の選手のディフェンス貢献を数値化する「Defensive Box Score(ディフェンシブ ボックス スコア)」、シュートの結果だけでなく、試行のあらゆる要素を評価する「Shot Difficulty(ショット難易度)」、ボールを持たない選手がコート上にいるだけでチームにもたらす有利な影響を数値化する「Gravity(選手の引力)」という、三つの新しいAI活用スタッツを通じて試合へのより深い理解を得られるようになる。

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Gravityの表示イメージ

 さらに「NBA Inside the Game powered by AWS」には、AIを利用して数千もの試合を通して選手の動きを分析・理解する「Play Finder」が搭載される予定だ。この機能は、Amazon BedrockやAmazon SageMakerといったAWSのサービスを活用し、類似のプレーを瞬時に検索できるようにする。

 他にも「Play Finder」は、試合結果と高度な分析を組み合わせることで、ファンや放送事業者が一般的なオフェンス戦略を理解し、深いインサイトを得られるようサポートする。また、リアルタイムのアラートシステムを搭載して、解説者が歴史的背景や戦略的インサイトを迅速に伝えることを可能にし、ライブ中継をより魅力的で学びのあるものに変える。

 NBAチームは「Play Finder」を支える機械学習モデルに直接アクセスでき、フロントオフィスやコーチングのワークフロー改善に活用される。将来的にファンはNBA公式アプリ上で、バスケットボールの戦略をかつてない詳細さで探求できるようになる計画だ。

 NBAのエグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 メディアオペレーション&テクノロジー部門責任者であるケン・デジェナロ氏は、「AWSとのパートナーシップは、イノベーションを通じてライブゲーム体験をさらに高め、今後何年にもわたりバスケットボールへの理解を深めていただく機会を提供してくれるものだ」と語る。

ニュースリリース