すかいらーくホールディングスは、店舗でのサービス品質向上と業務効率化を目的に、Google Cloudの生成AIサービス「Gemini」およびデータ分析基盤「BigQuery」を採用した。1月7日、Google Cloud Japanが発表した。店舗スタッフの挨拶をAIで分析する仕組みを構築したほか、AIを活用したデータ分析の民主化により、売上要因の特定や出店予測の精度向上につなげたい考えだ。
すかいらーくグループは「ガスト」や「バーミヤン」など約3000店舗を運営している。近年、配膳ロボットやセルフレジの導入により業務効率は向上した一方で、顧客とスタッフの接点が減少していることが課題となっていた。限られた接点の中でホスピタリティを最大化するため、接客の基本である「挨拶」を客観的に計測する「いらあり」プロジェクトを立ち上げた。
同プロジェクトでは、店舗に設置されたデバイスを活用し、スタッフの発話をGeminiなどのAIで分析する。24時間分のデータをすべて解析するのではなく、AIカメラと連携して必要な箇所のみを抽出することで効率化を図っている。開発にあたっては、Google Cloudのエンジニアと共同でプロトタイプを作成する支援プログラムを活用。当初2、3カ月かかると見込んでいた工程をわずか2日間で完了させた。従来は音声データを一度蓄積してから処理する構成が一般的だったが、BigQueryから直接ストレージ内のデータを書き起こし処理する最新機能を活用し、シンプルなシステム構成を実現した。
また、組織全体でのデータ活用を加速させるため「Gemini in BigQuery」を導入した。これまで専門部署に限定されていたデータ分析を各業務部門へ開放し、データの民主化を推進している。マーケティング本部では、自社のデータに気象実績やトレンドなどの外部情報を掛け合わせた高度な分析を開始した。従来、売上変動の理由を特定するには膨大な調査を要したが、現在は自然言語による問いかけで多角的な要因分析が可能になった。
店舗開発の現場でも、Gemini in BigQueryの「Data Science Agent」を活用している。従来、新規出店の売上予測はベテラン社員の経験則に頼っていたが、現場担当者が自ら試行錯誤して予測モデルを調整できる環境を整えた。今後は、駐車場の配置といった熟練者の暗黙知を数値データとして取り込み、さらなる精度向上を目指す。
すかいらーくホールディングスマーケティング本部の池田裕氏は、「スピード感を持って進められたことは圧倒的なメリットだった。最新機能を踏まえたシンプルな構成で実現できたことは技術的にも大きな転換になった」としている。また、同本部の藤本祥恵氏は、「現場の担当者が直接データに触れ、試行錯誤を繰り返せるようになった意義は大きい。分析業務を自分事として捉える意識変革にも寄与している」と話している。
今後は、社内での成功事例を積み重ね、生成AIとデータを活用した新しい文化を組織全体へ浸透させることで、グループ全体の変革をさらに加速させていく方針だ。