キャデラックF1チームは、世界最高峰の自動車レース「F1」への参入に向けた運営基盤を強化するため、IFSの産業用AIソフトウェア「IFS Cloud」を採用した。1月9日、産業用エンタープライズソフトウェアを展開するIFSジャパンが発表した。財務や調達、サプライチェーン管理などを統合し、2026年の正式デビューに向けた組織のスケールアップと、F1特有の厳格なコスト制限への対応を図る。
キャデラックF1は、ゼネラルモーターズ(GM)などの支援を受け、2026年からフォーミュラ1世界選手権への参戦を予定している新興チームだ。米国と英国を拠点に、ハイパフォーマンスな車両開発とチーム文化の構築をゼロから進めている。10年以上ぶりに新規参入するチームとして、立ち上げ段階から複雑な業務プロセスを管理し、迅速に意思決定を下せるIT環境の整備が急務となっていた。
同チームは、F1への正式参戦が承認される前の極めて早い段階からIFSの導入を決めた。選定にあたっては、財務、調達、製造、エンジニアリングといった複数の領域を一つのプラットフォームで統合管理できる点や、リソースの最適化を通じて、F1の厳格なコストキャップ(予算制限)や技術規定を順守しやすくなる点を評価した。
システムの導入は段階的に進められており、まずは財務管理や調達といった基幹機能から開始した。その後、サプライチェーン、製造、品質管理へと対象を拡大している。さらに在庫管理やエンジニアリング管理の分野でも活用することで、レース車両に必要な部品を必要なタイミングで確実に確保できる体制を構築した。これにより、手作業の削減や自動化が促進され、車両設計やレース運営におけるリアルタイムの意思決定が可能になった。
キャデラックF1チームのグローバル・コマーシャル戦略責任者を務めるタイラー・エップ氏は、IFSは新規チームとして立ち上がる上で重要な役割を果たしてきたと語る。参戦承認前の早い段階で導入を決めたことで、複雑な業務の管理やイノベーションの加速が可能になり、運営を急速に拡大できたとしている。サプライチェーンからエンジニアリングに至るまで、同ソフトが賢明な判断を支えることで、競争力のある車両開発という最も重要な業務に集中できているとコメントした。
今後は、IFS Cloudから得られる観測データを活用し、さらなる俊敏性の向上とパフォーマンスの限界突破を目指す。また、技術面での連携に加え、レースカーやドライバーのウェアにIFSのブランドを展開するなど、マーケティング面でのパートナーシップも深めていく方針だ。