嬉野市、マイナンバー連携で窓口改革推進 子育て世帯の申請負担を軽減

2026年3月12日23:49|ニュースCaseHUB.News編集部
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 佐賀県嬉野市は、窓口改革の一環としてマイナンバーカードと連携したオンライン申請を開始した。システム基盤として、トヨクモのkintone連携Webフォーム「FormBridge」を採用している。3月12日、導入を支援したトヨクモクラウドコネクトが発表した。子育て世帯など、来庁が困難な住民の負担軽減を図るとともに、現場の業務効率化を目指す。

 嬉野市は人口約2万5000人の自治体である。旧嬉野町と旧塩田町の合併により、長年にわたり2庁舎体制で行政サービスを提供してきた。住民はどちらの庁舎でも手続きを完結できる環境にあったが、2026年度には新庁舎への一本化が予定されている。これに伴い、塩田側の庁舎は支所的な扱いとなり、対応できる手続きが制限される見通しだ。一部の住民にとっては、従来よりも遠方の庁舎へ移動する必要が生じるなどの地理的制約が課題となっていた。

 こうした背景から、同市は窓口業務のデジタル化を推進。これまでも「書かない窓口」の導入や来庁予約システムの整備、RPAによる業務効率化などに取り組んできた。今回のオンライン申請の拡充は、物理的な移動を伴わずに手続きを完結できる仕組みを整え、住民の利便性を高めることが目的だ。

 オンライン化の対象業務選定にあたっては、「一定以上の件数があること」「デジタル世代が利用すること」「手続きが比較的シンプルであること」という三つの基準を設けた。検討の結果、月5件以上、年間60件ほどのニーズがある「放課後児童クラブ退所届」を選定した。共働き世帯など、平日の日中に来庁時間を確保することが難しい子育て世帯の利用を見込んでいる。

 今回導入された仕組みでは、住民がスマートフォンから申請フォームにアクセスし、マイナンバーカードのICチップを読み取ることで本人確認を行う。カードに記録された氏名、住所、性別、生年月日の基本情報がフォームに自動連携されるため、入力の手間が省けるだけでなく、入力ミスの抑制にもつながる。

 現場の運用負荷にも配慮した設計がなされている。申請データはサイボウズのkintoneに格納された後、自動的に帳票化される仕組みを構築した。これにより、職員は従来の紙による申請と同様の業務フローで処理を継続できる。窓口担当部署は日常業務で多忙なため、新しい取り組みが負担にならないよう、既存の運用を変えずにデジタル化を組み込むことに重点を置いた。

 システムの構築に加え、制度面の整理や申請設計の支援はトヨクモクラウドコネクトが担当した。マイナンバー認証を利用するにあたり、本人確認の主体や例規との整合性といった制度上の前提条件を丁寧に整理しながらプロジェクトを進めた。

 嬉野市総合戦略推進部広報・広聴課で窓口改革を担当する坂本氏は、新庁舎一本化を見据え、遠方の住民の移動負担を軽減するためにオンライン申請の拡充が必要だったと振り返る。また、プロジェクト推進においては合意形成が重要であるとし、全員に説明するよりも、各部署のキーパーソンに深く理解してもらうことが肝要だと述べている。

 嬉野市は今後、オンライン申請の対象範囲をさらに広げ、来庁とオンラインのいずれかを住民が選択できる環境を整備していく。デジタル化の恩恵を住民に還元しつつ、窓口業務のさらなる高度化を目指す。

ニュースリリース