毎日放送は、次世代ネットワーク技術であるIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を活用したリモートプロダクション環境による映像制作の実証試験を実施した。1月8日、NTTビジネスソリューションズが発表した。スポーツ中継の制作機能をデータセンターへ集約することで、中継車への依存度を下げ、制作人材の効率的な配置と映像制作の高度化を目指す。
毎日放送は2025年12月に開催された「第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会」において、東大阪市花園ラグビー場と自社本社、およびNTTスマートコネクトのデータセンターをIOWN APNで接続した。従来、スポーツ中継では多数の制作機器を搭載した中継車を現場に派遣する必要があり、機材の輸送コストやスタッフの派遣費用、会場での設置スペース確保などが課題となっていた。
今回の取り組みでは、制作の核となるIPスイッチャーや時刻同期を担うPTPグランドマスターといった主要機能をデータセンターに設置。毎日放送本社のサブ(副調整室)から遠隔操作することで、現場にスイッチャーやミキサー担当者が不在でも、地上波放送向けの高品質な番組制作が可能であることを確認した。IOWN APNの「大容量・超低遅延・ゆらぎなし」という特性により、遠隔地からでも違和感のない操作性を実現した。
さらに、高度な映像表現を可能にする二つのシステムをデータセンターに集約した。一つはAIを活用して高精度なスーパースロー映像を生成するシステム、もう一つは複雑なテロップを制作・送出するシステムだ。これらを遠隔運用した結果、AIによる高負荷な映像処理も遅延なく利用できることが実証された。これにより、現場の機材量を削減しながら、より付加価値の高い映像コンテンツを制作できる可能性が示された。
毎日放送は、今回の実証が今後の設備計画を具体化する上で有意義な機会になったとしている。前回の実証に続き、今回はAIスローやテロップ制作といった新たな試みに挑戦したことで、MoIP(Media over IP)環境の構築に向けた技術的な課題を洗い出すことができたという。今後は、運用面や費用面での検討をさらに進める方針だ。