カゴメがNECと共同で設立した合弁会社DXASが、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」をイタリアとポルトガルのトマト圃場に導入したと2023年11月に発表した。
イタリア北部での実証試験では、従来の方法と比較して約19%の節水を実現しながら、収量を約23%増加させることに成功した。また、ポルトガルの大規模商用圃場では、約21ヘクタールの面積で1ヘクタールあたり148トンという高い収量を達成した。
この取り組みの背景には、世界的な気候変動や干ばつによる水不足問題がある。CropScopeは、AI技術を活用して少量多頻度灌漑を最適化し、水資源の効率的な利用と収量増加を同時に実現する。
イタリアでの実証試験では、1.25ヘクタールのCropScope導入区画で1ヘクタールあたり148.8トンの収量を達成し、比較対照区画の120.5トンを大きく上回った。ポルトガルでは、2つの圃場で平均148トンの収量を記録した。DXASの担当者は「今回の結果は、CropScopeが異なる気候や土質条件下でも効果を発揮できることを示している」と述べ、今後の展開に期待を寄せている。
カゴメとNECは、この実証試験で得られたデータをCropScopeの機械学習に活用し、AIによる営農アドバイスの精度向上を図る予定だ。また、DXASを通じて世界の加工用トマト市場へのサービス展開を加速させる方針を示している。
この取り組みにより、農業分野における水資源の有効活用と生産性向上が期待される。カゴメとNECは、持続可能な農業の実現に向けて、テクノロジーを活用した解決策を提供し続ける考えだ。
ニュースリリースURL
https://jpn.nec.com/press/202311/20231108_02.html