NTTドコモは、生成AIを活用したネットワーク保守業務向けAIエージェントシステムの商用化と、仮想化基地局(vRAN)基盤上でAIアプリを運用する実証に成功した。2月25日、同社が発表した。アマゾン ウェブ サービス(AWS)などの基盤を活用し、100万台以上の装置データのリアルタイム分析や、通信とAI処理の並行稼働を実現した。これにより、故障対応時間の50%削減やリソースの最適配置を図り、次世代の「In-Network Computing」実現に向けた歩みを進める。
モバイルネットワークは4Gと5Gの混在により運用の複雑性が高まっており、障害発生時の迅速な対応が急務となっている。従来、複雑な故障の特定には人手による膨大なデータ分析が必要で、サービス影響時間の長期化が課題となっていた。また、今後のAIサービス普及に伴うトラフィックの爆発的な増加を見据え、消費電力を抑えつつ効率的にAI処理を実行できる基盤構築も通信事業者にとって重要なテーマとなっていた。
今回商用化したAIエージェントシステムは、AWSの「Amazon Bedrock AgentCore」を活用している。基地局からコアネットワークに至るまでの装置から収集されるトラフィックや警報情報をAIが横断的に分析し、異常検知や被疑箇所の特定、対処案の提示を行う。世界最大級のデータを活用することで、これまで人手が必要だった判断を自動化し、対応時間を従来比で50%以上削減することに成功した。
並行して実施されたvRAN基盤での実証では、日本電気(NEC)の基地局ソフトウェアやAWSの仮想化基盤、HPEのサーバーなどを用いた統合基盤を構築した。汎用サーバーのCPUリソースを活用し、通信処理を行いながらAIアプリケーションを動作させることに成功。専用の高性能アクセラレータに依存せず、ネットワークとAIの機能を柔軟に組み合わせた運用の有効性を確認した。
NTTドコモネットワーク本部サービスマネジメント部長の牧山隆宏氏は、これらの取り組みはドコモが目指すネットワーク自律運用の実現に向けた大きな一歩になると述べている。今後は、実際のトラフィック特性やAIアプリの要件に基づき、CPUやGPUなどのコンピューティングリソースの最適配置を推進していく考えだ。同社は今後も、AIを活用した高度なオペレーションを追求し、6G時代に向けた高品質な通信サービスの提供を目指す。