NTTドコモは、日本全国で展開するオープンな5G無線アクセスネットワーク(オープンRAN)の商用展開において、アマゾンウェブサービス(AWS)のサービスを選定した。2024年2月26日、AWSジャパンが発表した。
デジタル経済の進展に伴い、日本のモバイルトラフィックは過去10年間で15.4倍に増加している。生成AIなど先端技術の活用が広がるなか、通信事業者は携帯電話サービスの品質や信頼性を保ちながら、5Gネットワークの展開コストを低減する必要性に迫られている。
NTTドコモは、オープンRANの導入により、オープンで仮想化された、完全に相互運用可能なモバイルネットワークへの移行を目指している。AWSは、モバイル業界におけるオープンRANの取組を世界的に推進するドコモのサービスブランド「OREX」に参画する。
今後、NTTドコモの5GオープンRANにおいて、AWSのコンテナ管理ソフトウェアであるAmazon Elastic Kubernetes Service Anywhere(Amazon EKS Anywhere)を利用する。これにより、自動クラスター管理ツールを使った5Gネットワークの運用を簡素化する。Amazon EKS Anywhereにより、通信事業者が5Gコアネットワーク(5Gコア)から運用およびビジネスサポートシステム(OSS/BSS)までのエンドツーエンドでのネットワークの革新を進める際に、AWSリージョン内の他のAWSサービスとのインテグレーションが容易になる。
NTTドコモのハイブリッドクラウド環境で実行される5Gコアの開発でも、AWSが支援する。NTTドコモは2022年にAWS GravitonプロセッサとAmazon EKSを活用したハイブリッドクラウド環境における、クラウドネイティブな5Gコアソフトウェアの動作に関する技術検証(PoC)を開始しており、検証環境では5Gコアの消費電力を平均72%削減することに成功している。ほかにも、通信キャパシティが必要となった際や障害、自然災害発生時にドコモのオンプレミスNFVインフラストラクチャとAWS間のシームレスな切り替えを可能とする高度なキャリアグレードの冗長設計を完了している。
さらにNTTドコモは2023年、Amazonが提供する低軌道(LEO)衛星ブロードバンドネットワークであるProject Kuiperとも戦略的提携を発表している。今後は、山間部や島しょ部など、これまでサービス提供が難しかった地域や被災地などにおいて、KuiperとNTTドコモのネットワークを接続し、迅速なサービス提供についても検討を進める。
NTTドコモ代表取締役副社長の田村穂積氏は、「AWS及びKuiperとの連携により、イノベーションを加速することによって、柔軟な機能追加による迅速なサービス提供や、省電力且つロバストな通信ネットワークを提供し続けることにより、お客さまにさらにご満足いただけることを期待しています。更に、AWSを新たなOREXパートナーとして迎え、オープンRANサービスのグローバル展開を加速していきます」と述べている。