マクニカは、NVIDIAのGPUサーバー「DGX H100」の検証環境を、MCデジタル・リアルティ(MCDR)のデータセンター「NRT10」に構築するとともに、既存の検証環境も同データセンターに移行した。9月5日、MCDRが発表した。
マクニカはGPUサーバーやソフトウェア、クラウド製品の販売、導入から保守・運用まで網羅的な技術支援を手がけている。サーバー実機を自社で保有し、外部のデータセンターに検証環境を構築して、支援メニューの充実に取り組んできた。
今回、そうした取り組みの一環として、DGX H100の検証環境構築と顧客向け技術支援プログラムの開発を目的に、同サーバーの自社導入を決定した。しかし、従来利用していた汎用用途向けのデータセンターでは、DGX H100の運用に必要な高電力や冗長性、将来的なサービス拡大に備えたスペースの拡張性といった要件を満たせなかったという。
そこでマクニカは、DGX H100の運用に対応できるファシリティを持つデータセンターの利用を模索。技術支援メニューの拡充を見据え、拡張性が高く長期的な利用が可能なデータセンターに既存の検証環境も合わせて移行する前提で検討を進め、MCDRのNRT10を選定した。
MCDRはNRT10を含む複数のデータセンターでDGX H100対応認証を取得しており、GPUサーバーを安定して運用できる高電力、冗長性、空調などのファシリティを備えている。またMDCRによれば、NRT10コロケーションデータホールの電力を実質100%再生可能エネルギーに転換しており、脱炭素にも貢献するという。
さらに、MCDRのデータセンターはキャンパス型で、近隣に複数棟のデータセンターを建設している。これにより、ラック単位の拡張から将来の大規模拡張まで対応が可能。加えて、モジュール性を重視した設計により、将来的に主流になると予測される水冷技術にも対応可能な構造だという。マクニカは、これらの特徴も長期的な利用を後押しする要素として評価したかたちだ。
マクニカ クラビスカンパニー第1技術統括部技術第3部長の北島佑樹氏はMCDRについて、「既存のデータセンター環境を理解した上で、電力構成やラックレイアウトも含め、具体的な提案をしてくれた」と話す。
マクニカはNVIDIAの最新ソフトウェアプラットフォーム導入を検討している顧客向けに、検証環境を無償で提供するサポートプログラム「AI TRY NOW PROGRAM」を提供しているが、その提供基盤もNRT10に移したため、DGX H100を使った検証環境も用意できるようになる。技術支援メニューの充実を加速させたい意向だ。また、NRT12の利用で従来のデータセンターと比べて1ラックあたりの電力密度を2倍に高めることができたとしており、ITインフラの効率化も実現している。