新潟県柏崎市は、ガバナンス強化と経費精算業務の効率化を目的に、LayerXの法人向けAIビジネスカード「バクラクビジネスカード」を採用した。8月12日、同サービスを提供するLayerXが発表した。豊富なセキュリティ機能により自治体独自の厳しい利用制約をクリアできる点を評価したもので、経費執行の透明性の向上にもつなげる。
柏崎市では、SNSやオンライン会議など、クレジットカードでの支払いが必要なサービスが増加していた。しかし、公金の適正管理と透明性が求められる自治体ではクレジットカードの利用に厳しい制約があり、決済業務の効率化を進める上での障壁となっていた。特に、職員による不正利用をいかに防ぎながら適正に運用するかが課題だった。
バクラクビジネスカードは、利用職員を特定できる「カード所有者」設定や、利用明細をリアルタイムに確認できる機能を持つ。これにより、支出状況の把握と管理を効率化し、会計処理の透明性向上に寄与する。さらに、不正利用を防ぐための4つの決済制限機能(決済先、利用上限金額、利用期間、通貨)を搭載しており、利用用途外の支出を防止できる。カードごとに制限内容を柔軟にカスタマイズできる点や、決済後すぐに通知が届き不正利用の可能性を即座に検知できる点も、厳格なガバナンス強化につながると評価した。
導入後は、職員がスマートフォンで領収書を撮影しアップロードするだけで、AIが自動でカード利用明細と照合する。領収書は最大100件まで一括でアップロード可能だ。加えて、過去の仕訳データをAIが学習し、組織のルールに基づいた仕訳データを自動で生成するため、ミスのない効率的な経理業務を支援する。
新潟県柏崎市元気発信課の阿部洋和氏は、「現状の支払事務から大きく逸脱することなく、利用を適正に管理できるクレジットカード導入を検討していた。特に職員による不正利用の防止を重視した結果、バクラクビジネスカードの導入を決めた」と話している。市ではまず一部の所属から利用を開始し、段階的に活用範囲を広げていく計画だ。