セイコーエプソン(エプソン)は、グローバルで展開する顧客向けサービスの認証基盤に、Oktaが提供する顧客向けアイデンティティ管理サービス「Auth0」を採用した。Okta Japanが10月14日、発表した。これにより、サイバー攻撃への迅速な対応が可能となり、セキュリティと柔軟な顧客体験の両立を目指す。クラウドベースの認証サービスに移行することで、顧客に安心・安全なサービス体験を提供していく。
エプソンでは、従来、顧客向けサービスの認証基盤として「Epson Global ID」を社内で独自に開発・運用してきた。しかし、内製による開発体制では、多様化・巧妙化するサイバー攻撃に対応するための新しい認証技術のサポートや、セキュリティ脅威への迅速な対応に限界があった。
こうした課題を解決し、セキュリティと柔軟な顧客体験の両立を図るため、エプソンはクラウドベースの認証サービスへの移行を決定。複数のサービスを比較検討した結果、Auth0の採用に至った。
Auth0の採用理由として、エプソンはAPIベースの認証・認可機能の柔軟性と、国内外での豊富な導入実績を高く評価した。また、常に最新のセキュリティ対策を取り入れることができ、顧客に安心・安全なサービス体験を提供できる点も採用の重要なポイントになった。
Auth0導入の起案・設計は、エプソンのDX推進本部が中心となって行った。IT部門による技術的な検討の後、経営層の承認を経て正式に決定されている。導入・実装にあたっては、DX推進本部に加え、既存認証基盤と連携する各業務システムの担当部門や、国内外の地域販売会社の技術部門とも連携し、全社的な体制でプロジェクトを推進した。
新認証基盤のリリースまでには、多数の関連システムが存在する中で、既存システムへの影響を最小限に抑えながら段階的な移行設計・検証が進められた。Oktaはプロフェッショナルサービスを通じて技術面から導入を支援し、週次の技術セッションでプロジェクト期間中に挙げられた112件の技術課題を全て解消した。
Auth0の導入により、2025年9月現在で五つ以上の顧客向けサービスが連携したEpson Global IDが構築された。また、多要素認証(MFA)の実装が可能になり、2025年5月からはエプソンの会員ページ「MyEPSON」のログイン機能がアップデートされ、セキュリティ強化のために2段階認証が導入された。
エプソンは今後も、最新の認証技術を柔軟に取り入れながら、ユーザビリティとセキュリティを両立した顧客体験の提供をグローバルで拡充していく予定だ。