ソフトバンク、Oracle Alloy採用 国産LLMと組み合わせたソブリン基盤を展開

2026年4月17日16:39|ニュース谷川 耕一
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 ソフトバンクは2026年4月16日、日本オラクルが開催した「Oracle AI World Tour Tokyo」で、クラウドおよびAI戦略の新基盤として「Oracle Alloy」を採用すると発表した。国内でのデータ管理を前提に、AIサービスを提供する体制を整える。

 同社は、運用を担うクラウド基盤「Cloud PF Type A」にOracle Alloyを組み込み、SB Intuitionsが開発する日本語特化の大規模言語モデル(LLM)「Sarashina」と連携させる。データを国内にとどめたままAIを活用できる環境を整備し、企業や自治体での利用拡大を見込む。AIエージェントの活用が進む中、自社主導でインフラを構築することで、データ管理と運用の主導権を確保する狙いだ。

ソフトバンクが描く「公共インフラ」としてのクラウド

 ソフトバンクは、国内のデジタル基盤を特定ベンダーに依存しない形で整備する方針を掲げている。Oracle AI World Tour Tokyoの基調講演に登壇した常務執行役員の丹波廣寅氏は、AIの普及には誰もが利用できる共通基盤が不可欠だと述べた。従来の個別最適型のシステム構築では、AI活用のスピードと広がりに限界があるとの認識を示した。

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ソフトバンク 常務執行役員 プロダクト・AI 担当 丹波廣寅氏

 その中核として採用したのがOracle Alloyだ。Oracleが提供する200以上のクラウドサービスを、自社データセンターで運用し、自社ブランドとして提供できる点が特徴となる。

 日本オラクル社長の三澤智光氏は、クラウドを分散配置することでリスクを抑える「分散クラウド」戦略を説明した。ソフトバンクはこれを取り込み、自社主体で運用するクラウド基盤の構築を進める。

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日本オラクル 取締役 執行役社長 三澤智光氏

国産LLMを前提とした国内完結型の環境

 ソフトバンクは2026年4月から、東日本のデータセンターで「Cloud PF Type A」を提供する。SB IntuitionsのLLM「Sarashina」との連携を前提としたソブリンクラウド基盤となる。

 Sarashinaは日本語や国内の商習慣への適応を特徴とするが、活用にはデータ管理が課題となる。企業や官公庁のデータには機密性の高い情報が含まれるため、処理環境の所在が重要になるためだ。

 丹波氏は、従来のパブリッククラウドではデータ処理が海外に及ぶ可能性を完全には排除できない点が導入の障壁になっていたと指摘する。今回の構成では、データを国内の自社データセンターに限定し、運用もソフトバンクが担う。これにより、国内でのデータ管理を維持しながら、テキスト生成や業務支援などのAI活用が可能になる。

運用主権を握るクラウドとしてのAlloy

 Oracle Alloyを採用した理由について丹波氏は、「運用に関する意思決定を自社で行える点」を挙げた。一般的なパブリッククラウドでは、アップデートや運用方針はベンダー側が主導するが、Alloyを活用するクラウド基盤ではそのコントロールをソフトバンク側が持つ。

 今後のAIエージェント活用では、最新の業務データに低遅延でアクセスできる環境が重要になる。丹波氏は、クラウドが業務の近くで稼働することが前提になるとの見方を示した。分散配置が可能なAlloyは、この要件と整合する。

 また三澤氏は、Oracleのインフラが高密度かつ低消費電力での運用に適している点にも言及した。ソフトバンクはこれを自社運用することで、コストと効率の両立を図る。ソフトバンクは2026年6月から順次サービスを開始する予定だ。東西の拠点から提供を広げ、国内でのAI活用基盤として展開していく考えだ。

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