広島大学とNECは2023年12月、個々の病院で電子カルテシステムに入力された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の情報を、広島県の感染症サーベイランスシステムに自動でデータ連携する仕組みを構築し、医療従事者の負荷軽減と感染症情報収集の効率化を目指す実証を共同で開始した。病院の電子カルテデータを用いて自動で連携する取り組みは全国で初めてとなる。
COVID-19への対応の医療現場では、各病院で電子カルテシステムへの感染者情報の入力に加えて、各自治体の感染症サーベイランスシステムへの入力も必要なため、入力作業が二重に発生し、医療従事者の業務負荷や自治体への報告の遅延などが課題となっている。また、各病院から収集した情報をもとに自治体が週次で作成する感染症レポートはメールで配信されるため、電子カルテシステム上で参照できず、医療現場でのタイムリーな活用が難しいという問題もある。
本実証では、NECの電子カルテシステム「MegaOakHR」に、広島大学大学院医系科学研究科 公衆衛生学が知見を持つ感染症の報告様式を組み合わせることで、感染症情報収集の仕組みをデジタル化する。具体的には広島赤十字・原爆病院において、COVID-19患者の情報を電子カルテシステム上の広島県COVID-19版J-SPEEDテンプレートに入力する。これによって、広島県医師会が管理する地域医療ネットワークであるHMネットを通じて自動的に感染症サーベイランスシステムに連携、登録される。
また、収集した情報をもとに広島県健康福祉局が作成する感染症レポートが電子カルテシステムに連携される。これにより、診療時にタイムリーに感染症情報を確認することができ、診療内容の的確な判断に寄与するという。
広島大学とNECは、本実証により削減される医療従事者の業務負荷を定量的に測定する。今後、得られた知見を活かしてCOVID-19に関する情報収集のさらなる効率化を図るとともに、将来的には様々な感染症情報収集の汎用的な仕組みとして全国に拡大することを目指す。
ニュースリリースURL
https://jpn.nec.com/press/202312/20231222_01.html