千葉県の市原市役所は、ユニアデックスのクラウド型ネットワークサービス「Wrap」を採用し、職員約1700人のPCに導入した。11月29日、ユニアデックスが発表した。市原市役所はWrapの本格運用により、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推進し、行政事務の生産性向上を目指すとしている。
市原市役所は2020年、オンプレミスで構築・運用していたファイルサーバーなどの更改時期を迎え、テレワークやリモートワークを視野に、クラウドサービスの利用に切り替えることにした。当時、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークシステムは導入していたが、同時接続数の制限や複雑な設定方法などが課題となっており、問い合わせ対応による負荷も増大していたという。そこで、クラウドサービスの本格導入にあたって、従来のテレワークシステムの課題を解決できるソリューションとしてWrapを選定した。
ユニアデックスによれば、Wrapは複雑な設定が不要で、どこにいてもセキュアに庁内ネットワークを利用できる。TCP/IP上で動作する全てのプロトコルをセキュアに通信できるため、業務PCにソフトウエアを導入し、自宅のネットワークに接続するだけで庁内ネットワークにつながり、庁内と同じ環境で業務が可能になるという。
市原市役所は23年1月から段階的にテレワーク実施率の高い部署の職員、管理職など約200人を対象にWrap活用のPoCを実施。23年4月には対象職員を約1700人に拡大した。PoC終了後の庁内アンケート調査での評価が高かったことから、23年8月にWrapの採用を決定し、24年4月に本格運用を開始した。「設定方法がわからない」といった問い合わせが減少し、スムーズな運用管理が可能になったとしている。
また、Wrapは平時のテレワークだけでなく、災害などの緊急応対時の円滑な情報共有にも役立つと見込む。能登半島地震の支援の際には、市原市役所職員が業務PCを現地に持参し、庁内と連携するために活用したという。