南種子町、AI・IoT活用でパプリカ収穫量倍増 産地振興と技術継承を推進

2026年3月3日23:14|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 鹿児島県南種子町は、農業AI・IoTソリューション「e-kakashi」を活用した地域農業の活性化に取り組んでいる。3月3日、e-kakashiを提供するグリーンと、導入を支援した東京エレクトロン デバイス(TED)が発表した。環境データの可視化により、パプリカの年間出荷量を導入前の約4トンから約8トンへと倍増させる成果を上げており、科学的根拠に基づく栽培管理を通じて生産性の向上と新規就農者の定着を図る。

 南種子町では、農業従事者の高齢化や人手不足に加え、経験や勘に依存した栽培管理による収量・品質のばらつきが課題となっていた。特に気象条件の変化による影響が大きく、安定的な生産と品質確保が求められていた。こうした背景から、データに基づく栽培管理を実現するため、グリーンのe-kakashiを採用し、地域全体でのスマート農業の実装を進めている。

 e-kakashiは、圃場に設置したセンサーを通じて温度、湿度、日射量などの環境データを収集し、クラウド上で解析することで、栽培管理の最適化を支援するソリューションだ。TEDは、開発段階から共同で技術支援を行い、畑から取得したデータを安定的にクラウドへ送信するIoTゲートウェイを提供することで、サービス基盤を支えている。

20260303_minami.png
圃場に設置したセンサー

 同取り組みは、TEDのパートナー企業であるシーズテクノロジーが運営する「シーズファーム」への導入を契機に始動した。シーズテクノロジーを介して、南種子町と連携した行政・企業・生産者一体のプロジェクトへと発展。2025年7月に町内24戸の農家で運用を開始し、同年9月からはカボチャ栽培の6戸が加わったことで、現在は計30台の機器が町内の圃場で稼働している。

 導入の効果は、数値として明確に表れている。シーズファームにおけるパプリカの年間出荷量は、栽培初年度の2024年度は約4トンだったが、2025年度には約8トンに達する見込みだ。環境データの活用により、気象条件の影響を抑えた収量の安定化と品質向上が実現した。また、熟練農家の知見をデータ化して共有することで、経験の異なるメンバー間でも判断基準を共有できるようになり、新規就農者の技術習得や定着支援にも寄与している。さらに、地元の平山小学校でのICT学習にも活用され、環境データを題材に課題解決力を育成する学びの場へ還元する仕組みも構築された。

 南種子町役場総合農政課長の山田直樹氏は、「圃場の状態をデータで"見える化"し、客観的な情報にもとづく栽培管理に取り組み始めている。一部の圃場ではすでに収量や品質の改善が確認されており、今後、町全体でデータを共有・活用することで、農業の生産性向上と若い担い手の育成につなげていきたい」とコメントしている。

ニュースリリース