日本舶用エレ、音声合成で船舶の安全運航を支援 火災検知とアナウンスを連携

2025年7月31日18:10|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本舶用エレクトロニクスは、大型船用マッピングシステム「NHE CONNECT」のアナウンス音声として、エーアイのAI音声合成エンジン「AITalk6 Server」を採用した。7月31日、AITalkを提供するエーアイが発表した。船舶内で火災などのインシデントが発生した際、検知後速やかに船内へ詳細をアナウンスする体制を構築。オフライン環境でもリアルタイムに音声が生成できる点を評価したもので、安全な航海と迅速なインシデント対応につなげる。

 日本舶用エレクトロニクスは、船舶の安全で効率的な航海を支える通信機器や電子機器の開発、販売、保守を手がけている。同社のNHE CONNECTは、火災探知報知器など船内の多様な機器と連携し、各種情報やインシデントをブラウザ上で一元的に可視化・周知するシステムだ。自動車の輸出入などに使われる大型船舶では、1000点以上の火災報知器が設置されることもあり、システムなしでインシデントの発生箇所を迅速かつ正確に把握することは困難だった。

 従来、船内アナウンスは乗組員がインシデントを把握してからスピーカーで行うのが一般的だった。しかし、この方法には対応に時間がかかる課題があった。また、事前に録音した音声では、船舶ごとに異なる部屋や区画の名称にきめ細かく対応することは現実的でなかった。そこで、検知システムと音声を直結させ、瞬時にアナウンスできる仕組みを構築するため、リアルタイムで動的な音声生成が可能な音声合成エンジンの導入を検討した。

 製品選定にあたっては、洋上の通信環境が不安定な場合が多いことから、インターネット接続を必要としないオフラインでの動作が絶対条件だった。多くの音声合成エンジンがクラウド接続を前提とするなか、AITalk6 Serverはスタンドアロンで導入でき、CPUのみで高速な音声生成が可能な点を評価し、採用を決定した。火災発生時には一秒でも早い通知が求められるため、音声生成の速度も重要な選定理由になった。

 システムの導入にあたり、pluszeroがNHE CONNECTと連携するシステムの開発を担当した。エーアイとpluszeroが密に連携することで、開発はスムーズに進んだ。今回の仕組みにより、インシデント発生場所などをシステムが把握し、即座に音声で通報やアナウンスを行うことが可能になった。

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NHE CONNECTの画面イメージ

 日本舶用エレクトロニクス技術統括部デジタルソリューショングループの宝槻孝行氏は、「洋上では安定的なインターネット接続が期待できないため、音声合成エンジンの導入にあたってはオフライン環境で動作することが大前提だった。AITalkは、他の生成AI音声合成エンジンと比較しても高速に音声が生成できる。船舶は大型化し、代替エネルギーの利用も試みられており、インシデント発生時にはいち早く乗組員や関係者に伝えることで船舶の安全・安心に貢献したい。AITalkはこれまでの船内音声アナウンスの可能性を大きく広げるソリューションとして今後も活用していきたい」と話している。

ニュースリリース