イチネンケミカルズは、基幹システム全面刷新のため、NECネクサソリューションズのERPシステム「EXPLANNER/NX」を採用した。10月10日、NECネクサソリューションズが発表した。稼働から15年以上が経過した旧システムの課題を解消し、化学品メーカー特有の複雑な業務に対応した強固かつ柔軟なシステム基盤を構築したという。業務プロセスの標準化・効率化、精緻な原価計算や高精度なロットトレースを実現し、現場と経営の両面を支える基盤として活用していく。
イチネンケミカルズは、潤滑・防錆剤、洗浄剤、燃料添加剤などの開発・販売を手掛ける化学品メーカーだ。価格競争力の向上や利益の確保、製品付加価値の向上といった経営課題に対応するため、300社を超えるサプライヤーと協業し、製品原価の低減や品質向上に取り組んできた。
しかし、従来の基幹システムは機能性や柔軟性、処理能力の点で、現在の経営環境や業務ニーズへの対応が困難になっていた。また、化学品の製造では、製品ごとの製法(レシピ)管理、原材料の状態・形状変化に対応した在庫管理(荷姿管理)、原材料の投入実績管理、精緻な原価計算など、他業種にはない業務が多く発生する点も課題だった。
同社はこれらの課題解決に向け、製販一体型であること、化学製品に特化した機能を持つこと、ロット管理の強化と効率化、柔軟なカスタマイズに対応できること、といった要件を満たす新基幹システムを検討した。その結果、NECグループで累計400社を超える化学品メーカーへの導入実績があるEXPLANNER/NXの採用を決めた。
新システムの導入により、生産管理体制の見直しとリスク管理の強化が実現した。見込み生産品と受注生産品を一元管理し、見込み生産の全製品を対象にMRP(資材所要量計算)の対応を開始したことで、原材料の発注漏れなどのヒューマンエラーを解消した。受注生産においても属人的だった発注作業を見込み生産と同一のMRPで対応できるようにし、発注業務の効率を改善した。
また、現場で情報を入力するためのハンディターミナルを合わせて導入することで、原材料の荷受け、製造、出荷などの情報をEXPLANNER/NXで即座に一元管理できるようになった。これにより、スマートかつ精緻なロット管理が実現している。
加えて、各部門個別の業務フローを統一・標準化し、仕入れ先から得意先への直送品についてはシステム上で自動発注処理を行うことで、納期のリードタイム短縮などの効率化を実現した。在庫、債権・債務、輸出入などの各業務も標準化され、全社的な業務効率化につながっている。
経営判断に必要なデータの早期把握においても効果が現れている。従来の基幹システムでは月次決算に夜間バッチ処理が必要だったが、EXPLANNER/NXでは並行処理が可能になったことで、月次の締め日が従来の4営業日から3営業日に短縮され、経営判断に必要な決算データを早期に把握できるようになった。