フィリップス・ジャパンは、カスタマーサポート業務の効率化と品質向上を目的に「Jira Service Management」を中心としたアトラシアン製品群を採用した。3月3日、導入を支援したINNOOVが発表した。メール中心だった問い合わせ対応プロセスを一元化し、700名規模のサポート体制における情報共有やナレッジ活用、セキュリティ統制の高度化を図る。
フィリップス・ジャパンのSleep & Respiratory Care(SRC)事業部では、睡眠時無呼吸症候群の治療に使われるCPAPをはじめとした在宅医療機器やソフトウェアのサポートを行っている。従来、問い合わせ対応の多くがメールで行われていたため、対応状況の可視化が難しく、業務の属人化が進んでいた。また、類似の問い合わせが頻発してもナレッジとして活用できず、部門や地域を横断した連携に課題を抱えていた。さらに、グローバル標準のセキュリティ要件への対応やアカウント管理の強化も求められていた。
こうした課題を解決するため、同事業部は「Jira Service Management(JSM)」、ドキュメント管理ツール「Confluence」、ID管理・セキュリティ管理の「Atlassian Guard」を組み合わせたデジタル基盤を構築した。選定にあたっては、エージェント間でのナレッジ共有と、顧客による自己解決までを仕組み化できる点を評価した。導入プロジェクトは約半年間で実施され、プロトタイプによるフィードバックと修正を繰り返す手法により、計画通りに稼働を開始した。
新基盤では、業務効率を高めるための5つの仕組みを実装した。まず、JSMのポータルに「質問」「エラー報告」「作業依頼」など20種類の用途別フォームを整備し、必要情報の漏れを防ぐ体制を整えた。寄せられた問い合わせはすべてチケット化され、製品やリクエストタイプ、地域に応じて適切な担当者へ自動でアサインされる。これにより、振り分け工数の削減と迅速な初動対応が可能になった。
ナレッジ活用面では、ConfluenceにFAQやトラブルシューティング記事を集約した。フォーム入力時に関連ナレッジを自動提示するほか、チケット内容からナレッジ記事を自動生成する循環を構築し、自己解決率の向上につなげている。また、問い合わせ種別ごとに目標対応時間(SLA)を定義し、対応品質を可視化した。セキュリティ面では、Atlassian GuardとMicrosoft Entra IDを連携させ、シングルサインオン(SSO)環境を構築。アカウントの申請から承認、権限付与までをJira上で一元管理することで、ガバナンスを強化した。
導入の効果として、対応状況や優先度の可視化により、案件の進捗把握が容易になった。ナレッジ連携によって同じ問い合わせの繰り返しも削減され、セキュリティを維持しながら運用の効率化を達成した。今後は、この基盤を各部門からの問い合わせ対応にも段階的に展開していく。
フィリップス・ジャパンSRC事業部の井上氏は、導入手法について、具体的なイメージを持ちながら進めることができ、機能、スケジュール、予算のすべてが計画通りだったと評価している。