福岡県糟屋郡粕屋町は、選挙における投票の正確性向上と開票作業の負担軽減を目的に、京セラの電子投開票システム「デジ選」を採用した。6月16日、京セラが発表した。2026年8月30日に投開票が行われる町長選挙に向けてシステムを導入するほか、円滑な選挙運営の実現に向けて、自治体職員への研修や有権者を対象とした電子投票の理解促進のための啓発活動を段階的に実施していく。
地方自治体の選挙運営において、従来の紙の投票用紙を用いる方法では、誤記や判読不能による無効票の発生が課題となっていた。また、投票終了後に行われる手作業での開票や集計は、多大な人員と時間を要するため、開票作業の効率化や人員の削減、それに伴う人件費や紙資源などのコスト削減が求められていた。さらに、過去の電子投票の事例では、機器やネットワークのトラブルによる影響が懸念されており、安全性と公平性を両立した安定的なシステム環境の整備が必要だった。
今回採用されたデジ選は、総務省が定める技術的条件に適合した地方自治体向けの電子投開票システムである。ネットワークを経由せず、投票データをタブレット端末に直接接続した記録媒体に保存する方式をとることで、通信障害や機器の過熱によるトラブルの影響を抑えた安定した投票環境を構築できる点が評価された。
システムの導入により、有権者は投票所に設置されたタブレット端末の画面上で候補者氏名を確認し、タッチする直感的な操作で投票を行えるようになる。紙の投票用紙への記入をなくすことで無効票を防止し、有権者の民意をより正確に反映させることが可能となる。また、投票データがデジタル形式で記録されるため、投票終了後は迅速な自動集計が行え、開票時間の大幅な短縮と開票人員の削減を達成できる。これまで同システムは、2024年12月の大阪府四條畷市の市長選・市議補選や、2026年3月の宮崎県新富町の町議補選でも導入され、選挙運営の効率化に貢献してきた実績を持つ。
町長選挙の実施にあたり、粕屋町では7月5日に町内行事での電子投票体験コーナーの設置を予定しているほか、8月からは役場庁舎内へのデモ機の常設や電子投票啓発チラシの全戸配布を進める。さらに広報誌や公式ホームページでの情報掲載を通じて操作方法の周知を図るなど、有権者への積極的な啓発活動を通じて円滑な選挙運営とデジタル技術を活用した住民サービスの向上を目指す。