名古屋市は、防災行政無線の刷新に伴い、サイエンスアーツのライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」約1000IDを採用した。9月1日、サイエンスアーツが発表した。災害現場の映像や位置情報をリアルタイムで共有し、迅速な情報伝達と初動対応につなげる。
名古屋市防災危機管理局では、これまで非常時の通信手段として移動系防災行政無線を運用していた。しかし、従来の防災行政無線は基地局などの専用設備の整備や保守が必要で、専門人員による運用負荷やコストが課題となっていた。さらに、2024年1月の能登半島地震における対応を踏まえ、大規模災害時でも途切れにくい柔軟な通信対応力や、混乱した現場でも誰でも直感的に使える操作性、広域配備に伴う整備費・運用費の抑制を満たす新たな通信体制の構築が求められていた。
そこで名古屋市は、インターネットイニシアティブが提供する「IIJ公共安全モバイルサービス」とともに、通信用アプリケーションとしてBuddycomを採用した。市販のスマートフォンと既存の携帯電話ネットワークを活用することで、専用設備の維持管理にかかる負担を軽減しながら、災害時優先電話や複数キャリア回線による耐災害性を確保できる点を評価した。
今回の刷新により、名古屋市は本庁や16区役所、6支所をはじめ、各学区の小中学校、消防署、災害拠点病院、電力・通信・鉄道会社などの指定公共機関を含む約500カ所に、1000台を超える端末を配備した。すべての端末にBuddycomが導入されている。
Buddycomの活用により、従来の音声によるグループ通話だけでなく、災害現場の状況を映像や画像で災害対策本部にリアルタイム中継できるようになった。職員の位置情報も地図上で即座に確認できるため、正確な状況把握と的確な指示伝達が可能になったという。自然災害への対応にとどまらず、不発弾撤去に伴う避難誘導など、多様な危機管理業務での活用を見込む。
名古屋市は通信の信頼性と冗長性を高めるため、IIJ公共安全モバイルサービスやBuddycomに加え、衛星電話サービスやテレビ会議システム、県や市町村をつなぐ「愛知県高度情報通信ネットワーク」などを組み合わせた多重的な通信基盤の運用を継続する。サイエンスアーツは今後も、衛星通信との連携など通信環境に左右されにくい機能拡充を進め、自治体や公共機関の防災DXを支援していく。