旭川市、RPAツール「BizRobo!」で庁内業務を自動化 年間6460時間相当の余力を創出

2025年9月5日14:21|ニュースCaseHUB.News編集部
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 旭川市は、庁内業務の効率化を目的にRPAツール「BizRobo!」を採用した。9月4日、同ツールを提供するオープンが発表した。年間6460時間相当の余力創出と53業務の自動化を達成し、職員の残業削減やヒューマンエラーの抑止にもつなげている。今後もデジタル活用を加速させ、市民サービスのさらなる充実を目指す考えだ。

 人口約31万人の旭川市は、約3000人の職員が従事する市役所業務の効率化策として2020年度にRPAを導入した。しかし、1端末につき1ライセンスの価格体系や、ロボット実行中に端末が占有される機能制限、内製開発の難しさなどがネックとなり、2年間で8業務の自動化にとどまっていた。庁内での活用範囲を広げるため、旭川市は2022年にRPAツールと開発体制の見直しを決断した。

 新たなツールとしてBizRobo!を選定したのは、ロボットの同時実行数で価格が決まる「フローティングライセンス」の柔軟性を評価したためだ。今後利用部署が増加し、利用端末が数十台規模になっても、稼働スケジュールを分散させれば少数のライセンスで全庁運用ができる点が、旭川市のニーズに合致した。また、これまでのツールからBizRobo!へ一本化することで、総コストの抑制にもつながった。

 開発体制も内製型から外部委託に切り替え、外部リソースを活用する方針が軌道に乗った。結果、2022年度からの累計で、全庁の2割強にあたる27課、53業務にBizRobo!を導入した。自動化された業務は、税、年金、職員の給与など多岐にわたり、紙ベースの業務における入力・更新・確認作業などを自動処理している。

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BizRobo!導入後の自動処理のイメージ

 具体的な事例として、就学援助の認定業務では、紙の申請書から生じる煩雑な入力・参照作業を自動化。また、高齢者向けバスカードの交付実績管理業務では、RPAとAI-OCRを併用することで、職員3人で最大3日かかっていた作業が、1人で1日以内に完了できるようになった。これらの取り組みにより、年間で6460時間相当の人的リソースを創出している。

 自動化された業務は、時間外勤務の大幅な削減に貢献しただけでなく、ヒューマンエラーの抑止にも効果を発揮している。介護保険や子ども医療費助成の被保険者情報など、紙で管理していた情報を電子保存する際のフォルダ分け作業にもRPAが活用され、行政のペーパーレス化も推進されている。

 旭川市は、2025年1月に策定した「旭川市dX加速化方針」でも、業務効率化の手法としてRPAのさらなる活用を明文化している。庁内では現在、政府共通のクラウド基盤へのシステム移行が進んでおり、旭川市独自の制度に関わる事務作業を、全国共通のシステムと連携して自動処理する実効策としてもRPAに注目が集まっている。

 市職員は「締切まで日数がない大量の作業に対して、担当職員が残業で間に合わせていた状況を改善したのがRPAだ」と話している。BizRobo!がバックグラウンド処理で端末を占有しないため、業務効率が大幅に高まり、庁内業務の先にある市民生活の利便性向上にもつながると期待している。

ニュースリリース