住信SBIネット銀行は、勘定系システムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド環境に移行する。9月18日、AWSが発表した。2028年初旬の本番稼働を目指し、移行が完了すれば同行の全ての主要システムがAWS上で稼働することとなる。これにより、3000万口座を超える膨大なデータへの対応や今後の事業拡大への柔軟な対応に加え、運用コストの約30%削減も見込む。
住信SBIネット銀行は2007年に開業したインターネット専業銀行で、「銀行を超えたテックカンパニー」を掲げ、金融サービスの変革を推進してきた。2017年には「クラウドファースト」を決定し、勘定系以外の商用システムのAWSへの移行を開始。信頼性の高さや、AWSのスキルを持つ人材を確保しやすい点などを評価していた。
2020年には、インターネットバンキングシステムのデータベースをAmazon Aurora PostgreSQLに移行し、2023年には邦銀として初めて(同年8月時点)、東京リージョンと大阪リージョンを活用したマルチリージョンによる冗長化で、インターネットバンキングシステムの可用性を向上させている。
同行は、2024年から勘定系システムの更改に向け、オンプレミス環境の継続も含めて複数の観点から総合的に検討を重ねた。その結果、これまでのAWSでの豊富な導入実績で培ったノウハウや、市場にAWSスキルを持つ人材が豊富であること、安全性を評価し、AWSへの全面移行を決定した。
次世代勘定系システムは、現行のオンプレミスで稼働するIBMのNEFSSをベースに、Amazon RDS for Db2をはじめとするAWSのマネージドサービスに移行される。これにより、勘定系システムが東京と大阪のマルチリージョンに加わり、システム処理の効率化や俊敏性の向上に加え、障害時の迅速な切り替えや災害時の業務継続など、一層のレジリエンスが向上する。
また、全ての主要システムがAWS上で稼働することで、システム間の連携が容易になり、サービス開発の高速化や柔軟性の向上も期待される。これにより、新規システム開発や機能追加の速度が大幅に向上するほか、テスト環境の柔軟性も高まり、サービス品質の向上も見込んでいる。
住信SBIネット銀行 執行役員 システム副本部長の渡邊弘氏は、「全ての主要システムがAWS上で統一されることで、システム間連携の効率化や新サービス開発の高速化が実現し、お客様により良いサービスをスピーディーに届けられるようになる」と話している。今後は、AWSとの連携をさらに強化し、生成AIなどの最先端技術も積極的に活用しながら、新たなビジネス価値創出とイノベーションを加速させていく方針だ。