住信SBIネット銀行は、サイボウズのノーコード・ローコード開発ツール「kintone」を導入し、顧客対応に伴う社内確認の工数を半減させた。10月23日、サイボウズが発表した。同行はkintoneと生成AIを連携させ、顧客電話用対話型AIのシナリオ作成にも着手しているという。
住信SBIネット銀行は2007年に開業したインターネット専業銀行。デジタルバンク事業に加え、パートナー企業にフルバンキング機能を提供するBaaS(Banking as a Service)事業など、先進テクノロジーを積極的に活用して事業領域を広げているという。
同行のカスタマーセンターでは従来、顧客からの問合せ内容を所管部に確認する際に表計算ソフトとメールを利用して情報共有していた。しかし、事業規模の拡大に伴い、データ量の増加によるファイル破損や、大人数でファイルを共有する際のデータ更新時やメール送受信時のオペレーションリスクなどが課題となっていた。
これらの課題のソリューションになる情報共有基盤としてkintoneを採用した。ISO認証やFISC安全対策基準など金融機関に求められるセキュリティ要件を満たし、監査ログを残せる点を評価したほか、非IT人材でも容易に使えるUIや、スモールスタートが可能な料金体系、拡張性と外部連携の容易さなども選定のポイントになったとしている。
kintoneを導入して業務フローを再構築した結果、工数を半減させるなど業務効率化を実現した。またサイボウズによれば、同行は「データの信頼性・堅牢性を高めることで業務の高度化にも成功した」という。
導入から2年が経過し、カスタマーセンター以外のさまざまな部署でkintoneの活用が拡大している。導入当初は20ユーザーで契約していたが、現在では550ユーザーまで増加。実験的に開発したものも含め、200を超えるアプリが作成されている。
同行はkintoneを活用した業務改善をさらに推進すべく、生成AIとの連携にも取り組んでいる。顧客の電話に自動応答する対話型AIの実現に向け、M-SOLUTIONSが提供するkintoneプラグイン「Smart at AI」を利用し、受け入れテスト(UAT=User Acceptance Test)の質問文を作成している。APIコールの連続実行によって、一問一答形式の対話の繰り返し処理が可能となり、従来に比べて受入テストの時間と手間を大幅に削減できるという。またAIの活用により、担当者によるシナリオ作成時のバイアスや偏りを防ぎ、受け入れテストの精度向上にもつながると見込む。
住信SBIネット銀行は今後、各種システムと利用者をつなぐフロントエンドUIとして広くkintoneを活用していく方針。AWS上に展開している基幹システムとのAPI連携を進め、セキュリティ要件を満たしながらクラウド内で業務が完結できる環境の構築を目指すとしている。