SmartHRは、マーケティング部門のバナー制作の自走と効率化を目的に、コンテンツ制作ツール「Adobe Express」を採用した。7月1日、同ツールの導入を支援したTooが発表した。ノンデザイナーが一定の品質でバナーを制作できる環境を整えたことで、制作依頼から納品までのリードタイムを98%削減した。削減された工数を時間に換算すると4カ月間で175時間分にのぼり、デザイン部門がより高度なクリエイティブ業務に注力できる環境の整備につなげている。
SmartHRは、すべての人がその人らしく働ける環境づくりのための機能を提供するSaaS企業である。同社では事業の拡大に伴い、マーケティングやセールス部門が活用するクリエイティブの制作依頼数が年々増加し、年間1260件に達していた。その中でもメールやデジタル広告、セミナー告知などに使われるバナー制作が年間約600件と最も多く、デザイン組織のリソースを圧迫する要因になっていた。従来はデザイナーが担当者から要件を聞いて個別に制作していたが、繁忙期には着手までに時間がかかり、納期が通常の5営業日から7営業日に延びるなど、即時性が重要なコンテンツ発信に遅れが生じる課題を抱えていた。
この状況を改善するため同社は、日常的に施策を企画するマーケティング部門のメンバー自らがバナーを制作する体制への移行を検討した。リサーチを進める中で、直感的な使いやすさに加え、制作データがアドビのAI学習に使用されないことが明示されている点を評価し、Adobe Expressの採用を決めた。自社のデータや社員の画像を取り扱う上で、セキュリティ面での安心材料になった。
導入にあたり、同社はデザイン未経験者が迷わず制作できるようテンプレート機能を用いた型化に着手した。バナーの用途や掲載媒体ごとに分類し、文字と画像を流し込むだけで成立する30パターンのテンプレートを設計。日付などの更新が必要な箇所のみ編集可能とし、ブランドのトーンに関わるロゴの余白やフォントサイズなどは変更できないようロックをかけた。使用する素材もデザイナーが選定したものをライブラリに集約し、ブランドのクオリティを守る工夫を施した。さらに基本的な操作方法を伝えるワークショップを開催し、現場への定着を図った。
ツールの活用で、バナー制作における業務効率化と迅速な発信体制が確立された。従来は平均3営業日を要していた制作期間が、ツール導入後は1つあたり30分程度に短縮された。現在では40名以上のメンバーがツールを使用しており、制作の待ち時間がなくなったことで、時事ネタに対するスピーディーな情報発信が可能になった。
今後は、バナー以外の制作物への展開や、採用やセールス領域への活用拡大を検討している。また、さらなる効率化に向けて生成AI機能であるAdobe Fireflyの積極的な活用も視野に入れており、アイデア出しやラフ制作などの工程での検証を進めていく。