SmartHR、New RelicでSLO運用を標準化 サービスの信頼性と開発速度を両立

2026年1月29日00:19|ニュースCaseHUB.News編集部
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 SmartHRは、エンジニア全員でプロダクトの信頼性を高めるSREプラクティス実践の基盤として、New Relicのオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。1月28日、New Relicが発表した。急成長に伴うシステム品質の維持と開発スピードの両立を目指し、全社的なサービスレベル目標(SLO)の運用体制を整備した。少人数の専門組織による効率的な支援を通じて、サービス品質の向上と顧客満足度の引き上げを図る。

 SmartHRは人事・労務分野のデジタル化を推進するSaaSを展開し、現在は20種類以上のプロダクトを提供している。エンジニア組織は約200名規模に拡大しているが、従来はスピード重視の開発スタイルであった。しかし、顧客基盤の拡大に伴い信頼性の維持が重要課題となり、2024年9月に発生した大規模障害を機に、信頼性向上への取り組みを加速させた。

 同社はテクノロジーマネジメント本部内にSREユニットを設置したが、専任メンバーは4名と少人数であり、20を超える全プロダクトを直接管理することは現実的ではなかった。そこでSREユニットが直接運用するのではなく、各プロダクトチームが自律的にSLOを運用する「イネーブリング」という手法を採択。その計測・可視化を支える基盤として、New Relicの活用を決めた。

 New Relicの採用にあたり、処理したアクション量に応じて課金される「Compute Capacity Unit(CCU)ライセンス」を評価した。これにより、多数のエンジニアが利用してもコストの最適化が可能になっている。また、Terraformを活用してSLOの設定をモジュール化できる点も決め手となった。設定作業を共通化して各チームに提供することで、導入の負担を軽減しつつ迅速な展開が可能になると判断した。充実したオンボーディング支援などのサポート体制も高く評価した。

 運用の開始により、2025年11月時点で15のプロダクトチームがSLOを導入し、約80名のエンジニアが定常的に数値を監視している。従来は障害発生後の対応が中心であったが、性能劣化の兆候を早期に検知して未然に防ぐなど、プロアクティブな運用が可能になった。また、信頼性に関する議論が個人の感覚ではなく、客観的なデータに基づいて行われるようになるなど、組織文化の変化も見られるという。

 SmartHRテクノロジーマネジメント本部本部長の菅原正宜氏は、SLOを導入したチームがプロダクトの核心を把握し、顧客満足のために何をすべきかが明確になったと指摘している。事業成長が加速する中で、信頼性と開発速度の両立が着実に進んでいるという。今後は各チームへの導入をさらに進め、プロダクトへの信頼感を高めることで、将来的な売上規模1000億円の達成に貢献したいと話している。

 今後は監視対象をバックグラウンド処理の遅延などにも拡大し、より包括的な性能管理を目指す考えだ。また、ユーザー視点で信頼性を把握するため、外形監視機能をより積極的に活用していく。全エンジニアがオブザーバビリティを活用できる環境を維持し、さらなる事業成長の土台を固める。

ニュースリリース