カレンダーシェアアプリを運営するTimeTreeは、サービス基盤となるデータベースをGoogle Cloudの「Spanner」へ移行した。7月25日、Google Cloudが発表した。事業成長に伴い顕在化しつつあったデータベースの課題を解消し、サービスの継続性を確保。運用負荷の大幅な軽減も実現し、将来のビジネス成長を支える土台を確立した。
TimeTreeが開発・運営するカレンダーシェアアプリ「TimeTree」は、国内外でユーザー数を伸ばし、2025年5月時点で累計登録ユーザー数は6500万人を突破している。事業は順調に拡大する一方で、サービスを支える従来のクラウドデータベースには、データ量の増加によるストレージ容量や同時接続数の上限到達、データ定義言語(DDL)の実行エラーといった3つの懸念が生じていた。
同社のサービスは一つの予定に多様な情報がひも付くため、データ増加のペースが速く、今後の成長目標を考慮すると既存のデータベースでは対応が困難になると判断された。事業拡大の重要な局面を前に、問題が深刻化する前のシステム基盤刷新を決断した。
移行先としてSpannerを選定した理由は、フルマネージドで提供される自動シャーディング機能にあった。運用負荷を上げずにデータの水平分散を実現できる点を高く評価した。拡張性の高さや最大接続数の要件を満たしていたことに加え、データ分析基盤として「BigQuery」をすでに利用していたため、Google Cloudに基盤を統一することでシームレスな連携や運用負荷の軽減、コスト削減といった効果も期待できると判断した。
移行プロジェクトでは、本格的な検討段階でGoogle Cloudのエンジニアと共に短期集中のワークショップを実施。150億以上あるレコードの移行方法や、Spannerに最適化したスキーマ設計など、想定される課題の解決策を事前に見いだした。1年以上にわたる入念な準備期間を経て行われた実際の移行作業は、計画停止の範囲内で致命的な問題なく完了した。
Spannerへの移行で、懸念されていた3つの課題は解消された。自動スケーリングによってコストの最適化も実現したほか、データベース運用の負担も大幅に軽減された。SREチーム ソフトウェアエンジニアのGreg氏は「移行前はデータ容量やコネクション数の上限を意識して常にメトリクスを監視する必要があり、大きな負担となっていた。Spannerではその心配がまったくないので、運用上の手間が大幅に改善され、心理的な負担も払拭された」と成果を語る。
今後は、今回のプロジェクトでは対象外だったNoSQLデータベースのGoogle Cloudへの移行を進める。また、AIサービスの活用も検討しており、イベントの案内画像から予定を自動作成する機能などの開発に意欲を見せる。SREチーム マネージャーの金井栄喜氏は「今回の移行をきっかけに、エンジニアリング主導の発想や提案でサービスの成長スピードを加速できるのではないかと期待している。我々としても、もっといろいろなサービスを積極的に利用してナレッジを高め、自社のプロダクトを成長させていきたい」と話している。
#TimeTree #GoogleCloud #Spanner #DatabaseMigration