セブン-イレブン・ジャパンはNECが構築した次世代店舗システムを採用した。店舗における発注や商品管理、従業員管理などの効率化・高度化を図る。5月22日、NECが発表した。国内コンビニエンスストアで初めて業務システムのフルクラウド化を実現したとしている。国内約2万1000の全店舗に順次展開される予定だ。
小売業界では、労働人口の減少に伴う人手不足や人件費の上昇、さらには従業員の教育・育成における負荷増大が共通の課題となっている。特にコンビニは幅広いサービスを提供しており、店舗業務の複雑化が進んでおり、業務負担の軽減と教育の効率化が急務だった。
こうした課題の解決策の一つとして、セブン-イレブンは次世代店舗システムの移行を検討し、NECの支援を受けた。システム基盤には「Google Cloud」を全面的に採用し、業務システムを全面的にクラウド環境へ移行。NRCによれば、国内のコンビニエンスストアでは初の試みだという。マイクロサービスアーキテクチャを導入することで、将来の事業環境の変化や消費者ニーズの多様化にも柔軟に対応できる拡張性と即応性を備えたとしている。データの利活用も強化し、意思決定や店舗運営のさらなる高度化も進めたい考えだ。
また、国内小売業で最大規模となる約30万台のモバイル端末やタブレットなどの汎用端末を業務に活用し、店舗従業員の作業負担軽減と利便性向上を図る。これらの汎用端末の管理には、Omnissa(VMwareがBroadcomに買収された後、EUC部門が独立、新設された企業)の統合エンドポイント管理ソリューション「Omnissa Workspace ONE」を採用しているという。
認証基盤にはNECの顔認証技術を採用。約40万人の店舗従業員を対象に、業務システムへのログインや権限制御に活用する。これにより、IDやパスワードの管理といった手間が不要となり、より円滑な業務開始とセキュリティレベルの向上が見込まれるという。
さらに、新システムはマルチベンダー環境におけるシステム運用の効率化も追求しているという。ServiceNowのITサービスマネジメントプラットフォーム「IT Service Management」(ITSM)を活用し、障害情報や問い合わせ内容などを一元的に可視化する統合運用ダッシュボードを構築。問題発生時の迅速な状況把握と解決につなげる。従来はベンダーごとに分かれていたコールセンターも統合し、店舗からの問い合わせ窓口を一元化することで、運用全体の効率を高める。