オカムラは、社内ナレッジ検索の効率化による生産性向上を目的に、生成AIとエンタープライズサーチを組み合わせた社内ナレッジ検索システムを構築した。7月14日、構築を支援したTISインテックグループのアグレックスが発表した。自然言語による質問に対し、AIが社内情報を横断検索して要約・回答する仕組みで、問い合わせに関わる時間を削減する。今後は社内のあらゆる質問に対応する入口として機能強化を図り、従業員がより創造的な業務へ専念できる環境を目指す。
オフィスや店舗、物流倉庫などの空間づくりを手がけるオカムラでは、顧客への提案時などに製品の詳細情報を問い合わせるなど、社内ナレッジを必要とする場面が多かった。これまでもエンタープライズサーチ製品「Neuron Enterprise Search」(以下、Neuron ES)やシナリオ型チャットボットを導入していたが、社歴の浅い従業員は検索に適したキーワードが分からず、ツールを十分に活用できていなかった。検索で製品マニュアルなどのPDFファイルが見つかっても、内容を熟読して理解するには時間がかかり、結果的に有識者へ質問が集中することで、質問者と回答者双方の生産性が低下する課題を抱えていた。
同社は課題解決に向けChatGPTのテスト導入も行ったが、膨大な仕様書やマニュアルを学習させる必要があり、新製品の発売や法改正のたびに永続的なメンテナンスが発生することから本格導入を断念した。この検証で明確になった障壁を乗り越えるため、運用中のNeuron ESに生成AIを組み合わせ、学習データなしで社内情報に回答するシステムの構想に至った。この構想を実現する共創パートナーとして、Neuron ESの導入実績と知見を持ち、生成AIと検索システムの連携に関する研究を進めていたアグレックスを選定した。
アグレックスは、Microsoft Power Platformのツール群を組み合わせ、生成AIとNeuron ES、そしてオカムラ社内の基幹データベースを連携させるシステムを構築した。この仕組みは、Microsoft Teams上で入力された自然言語の質問を、生成AIが解釈して検索キーワードを抽出、Neuron ESが社内情報を横断検索する。そして、検索結果のファイル内容を再び生成AIが要約し、利用者に回答する。RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を活用し、Neuron ESが管理するPDFファイルや製品データベースを参照元情報として扱うことで、特定のディレクトリにファイルを保存するだけで最新情報が回答に反映される運用を実現した。
新システムの導入で、従業員は検索キーワードを意識することなく、自然言語で社内ナレッジを探せるようになった。回答を得るまでの時間も短縮され、従業員がより創造性の求められるコア業務に専念できる環境が整った。また、学習データを用意したり、既存のフォルダ構造を大幅に変更したりすることなく回答の参照元情報を追加できるため、メンテナンス負荷の軽減にもつながっている。
今後オカムラは、このシステムを製品や社内規定など、あらゆる質問への入口とすることを目指し、既存のチャットボットも統合するなど継続的な機能強化を図る。オカムラのDX戦略部で部長を務める池田秀明氏は、「生成AIとエンタープライズサーチの組み合わせは前例がなく、技術的に実装可能か不明な中での挑戦だったが、アグレックスは我々の課題感と構想を理解し、ともに推進してくれた。生産性を阻む業務はAIに任せ、人は創造性が求められる業務に専念すべく、今後もアグレックスを共創パートナーとしてAIの更なる活用を推進していきたい」と述べている。
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