明電舎は、災害対策(DR)サイトの運用コスト削減を目的にTISの「Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービス」を採用した。7月11日、TISが発表した。オンプレミスで運用していたDRサイトを日本オラクルのクラウドサービスへ移行することで、2拠点分のデータセンター維持にかかるコストを約50%削減した。事業継続計画(BCP)の安全性を損なうことなくコストを抑制し、将来的には仮想化基盤全体のクラウド移行も目指す。
明電舎は、電力インフラや水処理システムといった社会インフラから、自動車試験装置や電気自動車のモーターまで、電気関連の事業を幅広く手掛ける大手重電メーカー。同社は2017年、売上や納入実績データを管理するデータウェアハウス(DWH)を強化するため、西日本のデータセンターにオラクルの「Exadata」を導入し、10以上の業務システムを統合したデータベース環境を整備した。その後、BCP強化を目的に東日本データセンターにも2台目のExadataを導入し、災害や障害に備えるDRサイトを構築していた。
しかし、2拠点でオンプレミスのExadataを運用する上で、5年ごとの機器更改費用と月々のデータセンター維持費用というコスト面の課題が浮上した。このため、次回の保守期限を迎える前に改善策を講じる必要に迫られ、2021年末からクラウド活用を視野に入れた次世代のネットワーク構成の検討を開始した。検討にあたって、基幹業務に影響が及ぶリスクを考慮し、西日本の本番環境はオンプレミスで継続運用し、東日本のDRサイトのみを見直す方針を固めた。
既存のExadataを継続する案も含め、複数の選択肢を比較検討した結果、TISのOracle Exadata クラウドマイグレーションサービスと、移行先となるオラクルのクラウドサービス「Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure」の採用を決めた。TISについては、過去のExadata導入支援や、明電舎のエンジニア向けに開催した勉強会の実績などから、オラクル製品に関する豊富な知見と技術力に信頼を置いていた。また、移行先のサービスは、パブリッククラウドである「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上でExadataを専有環境として利用できるため、データセンターコストがかからず、コスト削減効果が高い点も評価の決め手となった。
移行プロジェクトは2022年5月から約6ヶ月間かけて実施された。TISがOCI上の環境構築を、明電舎が本番環境からの接続先変更をそれぞれ担当し、新DRサイトへの移行を完了した。この移行により、DRサイトとしての安定性を維持しつつ、オンプレミスで運用を継続した場合と比較して、データセンターの年間費用などを含む維持コストを約50%削減している。加えて、TISの運用支援の一環である定期的な性能評価を通じ、本番環境とクラウド上のDRサイト間におけるデータ転送量の突発的な増加を予測し、事前にネットワーク帯域を拡張するといったプロアクティブな対応も可能になった。
明電舎は今回のプロジェクトを、将来的なクラウド活用の第一歩と位置付けている。同社 DX推進本部 デジタル化推進部長の天野純一氏は、「TISは当社の業務を最も熟知したITパートナーである。今回のプロジェクトも技術面で支えてもらい、スムーズな移行ができた。将来的には仮想化基盤全体のクラウド移行が最終目標になる。本プロジェクトはその第一歩であり、無事に完遂できたことは大きな成果だ」とコメントしている。
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