イオンペット、全国店舗の通信環境を刷新 DX推進へ基盤確立
2025年3月26日23:21｜ニュース｜CaseHUB.News編集部
ペット関連事業を多角的に展開するイオンペットは、全国約200店舗のネットワークインフラを全面的に刷新した。3月19日、プロジェクトを支援したソフトクリエイトが発表した。
イオンペットでは、ペット用品販売、グルーミングサロン、ペットホテル、動物病院など多様な事業を全国展開する中で、店舗のネットワークインフラの不安定さがDX推進の足かせとなっていた。本社や店舗でネットワーク不具合が頻発し、情報システム部門が対応に追われる状況に加え、Wi-Fi環境の不備がiPadやPOSシステムの活用を妨げ、生産性低下を招いていた。このような背景から、同社はデジタル技術を活用した業務効率化と顧客サービス品質の向上を目指し、ネットワークインフラの刷新をDX推進の第一歩と位置づけ、新たなプロジェクトを進めた。
プロジェクトのパートナー選定にあたり、イオンペットは信頼性・保守性、セキュリティを含む機密性および可用性、そして将来性を重視した。複数社の提案を比較検討した結果、ソフトクリエイトが選定された。同社の提案は、イオンペットが目指すDXを的確に捉え、将来を見据えた内容であったことに加え、当時社内に蓄積していた情報システム部門への不満や不信感を理解し、各店舗とのコミュニケーションを重視する姿勢を示した点が決め手となった。
ソフトクリエイトの営業担当者が提案前の段階で店舗を訪問し、現場の状況を把握しようとする熱意も評価された。イオンペット情報システム本部 執行役員 情報システム本部長の平井丈裕氏は「金額の安さだけでは絶対決めませんと伝えていました。各社から良い提案をいただきましたが、中でもソフトクリエイトは、多くの人が理解できる表現で、地に足が着いた提案をしてくれました」と語る。
プロジェクトは2022年1月にスタートし、リスクマネジメントとして段階的な進行を採用した。ペット用品販売、グルーミング、動物病院という異なる業態や、店舗ごとの入退館手続きや規模の違いを考慮し、5つのフェーズに分類。最初のトライアル期間で小規模かつ近隣の店舗から始め、徐々に難易度を上げていく方式が採られた。また、対応者による品質のばらつきを防ぐため、「3つのグランドルール」を設定し、全員が常に意識することを徹底。さらに、関係者間の伝達ミスを防ぐための「コミュニケーションシート」と呼ばれる管理の仕組みも導入された。
平井氏は「この巨大なエクセルシートは、他社には真似できないCRM的な工夫です。当社は5支社、各3事業本部で15人の支社長の下にエリアマネージャー、店長、当日対応する店舗スタッフと、相当な数の関係者がいます。その人たちをすべてリストアップして、店舗ごとに誰といつ、どんなコミュニケーションを取ったか、共通のチェックリストで手順を細かく記録、連携してくれました」と、その効果を強調する。
約2年間のプロジェクトを経て、2023年9月末に全国の有線・無線ネットワークの刷新が完了した。導入後、各店舗からのネットワーク障害に関する問い合わせはほぼなくなった。以前頻発していたルータの電源ケーブル抜けや、店舗スタッフによるLANケーブルの不適切な抜き差しによる通信ループといったトラブルも減少した。プロジェクトの成果として、各店舗のネットワーク機器やアクセスポイントの設置場所などを含む質の高いドキュメンテーションが納品され、日々の運営や今後の店舗展開計画に役立つと評価されている。
成果の見える化にも注力し、問い合わせ件数や回線速度、Wi-Fi網羅率のビフォー・アフターを可視化した資料作成や、全店舗担当者へのヒアリング、DX推進への貢献に関する社内啓蒙活動などが実施された。平井氏は「多額のコストをかけた結果、『普通に使えるようになりました』では、成果とは認めてもらえません。そこで今回は、大きく3点を意識して、戦略的に成果の見える化を行いました」と説明する。
今回のネットワークインフラ刷新を基盤として、イオンペットは今後、店舗DXをさらに推進し、業務効率化やサービス品質の向上、顧客とのエンゲージメント強化などを目指す。すでに、iPadとPOSを連携したレジの前捌き機能が実現したほか、今後は会員向け物理カードのアプリ化や病院のカルテ情報との連携などが計画されている。
#Aeonpet #SoftCreate #RetailDX #NetworkInfrastructure #OperationalEfficiency #CustomerServiceImprovement #Partnership #TrustRelationship #DigitalTransformation