味の素冷凍食品は、生成AIの全社的な活用を推進し、社内利用率80%以上を継続している。2025年3月に利用率80%を突破して以降、全部署での定着を実現した。2月18日、同社が発表した。ベンチャー企業のナレッジセンスが提供する生成AIサービス「ChatSense」を採用し、自社のIT部門が主導して実務に即した教育や環境整備を行った結果、2025年12月時点で月間6800時間以上の業務削減効果を記録している。
国内企業の多くが生成AIを導入しながらも、活用や定着に課題を抱える中、味の素冷凍食品は2024年5月から「生成AIが当たり前」の環境づくりに着手した。業務を熟知した社内人材で構成されるIT部門が主導し、外部コンサルタントに依存しないサステナブルな運用体制を構築。利用ルールの策定からベンダーとの共創、全従業員への一斉導入までをトップダウンとボトムアップの両輪で進めてきた。
安全な利用を促進するため、情報セキュリティや倫理の観点を踏まえた「生成AI利用ガイドライン」を策定した。特に重要なポイントを「生成AI利用4か条」としてまとめ、個人情報保護や著作権遵守などの基本ルールを全社に浸透させている。また、AIが生成した画像の利用リスクを軽減する機能を先行実装するなど、ベンダーと密に連携して100件以上の機能改修を共同で実施し、安全かつ利便性の高い環境を整えた。
教育面では、全7回のハンズオンセミナーを実施した。各部署のメンバーと議論しながら教材を都度手作りし、実務に直結した研修内容へと最適化した。実際に手を動かして学ぶことで、生成AIを「使えること」を標準スキルとして定着させた。研修後のアンケートでは受講者の90%以上が「利用できる」と回答しており、これが高い利用率の基盤となっている。
導入にあたり、社長メッセージを通じて生成AIが「全員の強い味方」であることを明確化し、PCを保有する派遣社員やパートタイム従業員を含む全従業員へ一斉に導入した。社内SNSでは四半期ごとの取り組み報告や各部署の活用事例を共有し、現場の実践知を循環させる文化を醸成している。
これらの取り組みにより、2025年12月には1人当たり週7回以上の利用が定常化した。具体的な活用例は多岐にわたり、製品開発におけるペルソナ作成の高速化や、ITの専門知識がないメンバーによるExcelマクロの解析、多国籍社員向けの多言語翻訳など、現場の課題解決に直結している。R&D部門では、過去の膨大なレシピを学習させた専用AIを構築し、ナレッジ活用の即時化も実現した。
現在は個人の利用から組織としての業務適用へとフェーズを移行している。IT部門が全社・全部署に担当を持ち、各部署に配置された推進担当者とともに70以上の業務テーマを組織横断で推進している。生成AIを用いた業務設計やナレッジの蓄積を加速させ、組織全体のリテラシー強化を図る。