茨城県つくば市は、行政事務の効率化と正確性の向上を目的に、インフォマートが提供する受取請求書プラットフォーム「BtoBプラットフォーム 請求書」を採用した。12月17日、インフォマートが発表した。年間10万件を超える請求書関連業務をデジタル化することで、職員の事務負担を軽減し、市民サービスや政策立案といった創造的な業務に注力できる環境を整備する。2026年1月から先行運用を開始し、同年8月の本格運用を目指す。
つくば市では「つくば市デジタル・ガバメント推進方針」に基づき、デジタルツールを活用した業務プロセス再設計(BPR)を全庁的に推進している。市内部の伝票決裁については2022年8月に電子化を完了させていたが、外部の事業者から受け取る請求書は紙での運用が続いていた。そのため、紙の情報を財務会計システムへ手入力する作業が発生し、入力ミスに伴う多大なチェック時間が職員の大きな負担となっていた。
こうした非効率性を解消し、正確な行政事務を推進するため、今回のシステム導入を決めた。選定にあたっては、請求データを財務会計システムに直接連携できる点や、電子帳簿保存法およびインボイス制度に対応している実績などを評価した。また、同サービスが多くの企業に利用されているシェアの高さも、事業者との円滑なデータ連携を期待する上でのポイントとなった。
新システムの導入により、伝票起票における金額や債権者情報の手入力が不要となる。これにより、請求書関連業務全体の作業時間が大幅に短縮される見込みだ。また、人の手を介さないデータ連携によって入力ミスが排除されるため、事務処理の正確性は飛躍的に向上し、理論上は誤りがゼロになることを期待している。
つくば市の担当者は、請求書関連業務は1件の誤りも許されない一方で、業務量は年間10万件を超え、さらに毎年数千件ずつ増加していると指摘する。慢性的なマンパワー不足の中での導入作業には苦労もあるが、それを補って余りあるほど、様々な課題を根本から解決するものになると期待を寄せている。
今後は、本格運用に向けて対象となる事業者への周知や連携を進めていく。つくば市は、デジタル化によって創出した時間を活用し、さらなる行政サービスの質の向上と職員のワークライフバランスの両立を図る方針だ。