エネコムは、クラウドサービスと社内仮想基盤の強化を目的に、Infinidatのエンタープライズストレージ「InfiniBox」を採用した。12月19日、Infinidat Japanが発表した。100%のデータ可用性とサイバーレジリエンスを確保しつつ、従来比で容量単価を50%以上削減したという。今後は、強化されたインフラを生かし、顧客データの国内保管ニーズなどに高い信頼性で応えていく方針だ。
エネコムは中国地方を拠点とするICTサービス事業者で、光ファイバーネットワークを活用したデータセンター事業などを展開している。自社のクラウドインフラを活用した企業向けクラウドソリューション「EneWings」や、社内インフラでは、データ量の急増への対応やサイバー攻撃のリスク対策が課題となっていた。また、既存システムのコスト上昇や、ハードウェア故障時の影響を最小限に抑えることも求められていた。
そこで、将来的なクラウド需要の増加を見据えたインフラ強化のため、InfiniBoxの導入を決定した。採用にあたっては、システムとしての高い信頼性と、ランサムウェアなどの脅威からデータを保護するサイバーレジリエンス機能を評価した。また、他社製品と比較して容量あたりのコストを50%以上削減できる点も決め手となった。今回は合計5台のInfiniBoxを導入し、クラウド基盤用、社内仮想基盤用、バックアップ・検証用にそれぞれ割り当てている。
InfiniBoxへの移行により、運用管理の負荷は大幅に軽減されたという。InfinidatのRAIDエンジン「InfiniRAID」によりデータ配置が最適化され、ノード障害時やボリューム追加時に発生していたデータリバランスが不要となり、仮想マシン側のパフォーマンスへの影響が解消された。また、新規ボリュームの設定作業も、従来は数時間を要していたものが30分程度で完了するなど、作業効率が向上している。
サービスの安定性に関しても、独自の三重冗長化アーキテクチャによって100%の可用性を実現したとしている。2台のシステムによるアクティブ・アクティブ構成をとることで、メンテナンスやバージョンアップ時にもサービスを停止する必要がなくなり、顧客に対してより高い信頼性を提供できるようになった。セキュリティ面では、改ざん防止機能付きのスナップショットなどを標準搭載しており、万が一のサイバー攻撃時にも迅速な復旧が可能になった。
エネコム ソリューション事業本部ソリューションサービス部の力石昌之氏は、「データ安全保障の観点から、データを国内に保管することの重要性は増している。InfiniBoxが標準で備えるサイバーレジリエンス機能を活用し、顧客のデータを安全に預かる基盤としてニーズに対応していきたい」と話している。