学校法人希望学園札幌第一高校は、生徒と教員1000名超の同時接続環境を整備するため、バッファローの法人向けWi-Fi 6対応アクセスポイント「WAPM-AX8R」などを採用した。12月10日、バッファローが発表した。校舎全体にマルチギガネットワークを構築したことで、全校生徒が一斉に動画視聴やオンライン英会話を行っても通信が安定し、ICT教育の質的向上につながっている。
同校は1958年創立の進学校で、ICT教育や英語教育に注力している。2015年の新校舎竣工時にWi-Fi環境を整備していたが、アクセスポイントは2教室に1台の設置にとどまり、通信帯域の不足や接続の不安定さが課題となっていた。特に、新入生端末の一斉セットアップが回線容量の問題で実施できなかったり、授業動画のアップロードに時間を要して教員の残業要因になったりと、運用面での負担も大きかった。また、学年ごとにSSIDを分ける複雑な運用や、MACアドレスの登録変更を外部業者に委託するコストもネックとなっていた。
そこで同校は、ストレスのない通信環境と運用負荷の軽減を目指し、ネットワーク基盤の全面刷新を決めた。生徒用のインターネット回線を10Gbpsに増強し、文部科学省のガイドラインを上回る帯域を確保。その上で、校舎棟の全教室に加え、体育館や図書館、グラウンドなどの各施設にバッファローのWi-Fi 6対応アクセスポイントとマルチギガ対応スイッチ「BS-MS2016P」を計78台設置した。
新システムでは、SSIDを単一化してローミングを円滑にしたほか、ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT/LW」を導入して校内ネットワークの稼働状況を可視化した。故障時の端末交換に伴う設定変更なども学校側で完結できるコントローラーレス設計を採用し、外部委託コストの削減と運用の迅速化を図っている。
刷新の結果、全校生徒と教員約1000名が同時に接続しても遅延や切断がほぼ発生しない環境が整った。オンライン英会話やクラウドでの共同編集、動画視聴などがスムーズに行えるようになり、電子黒板と連携した双方向授業も実現している。また、欠席者向けの授業動画アップロード時間も短縮され、教員の業務効率も向上した。
札幌第一高校英語科ICT委員会の佐藤亮介氏は、「論文検索や動画視聴、クラウドでの共同編集がスムーズになり、より深い探究が可能になった。生徒発案の活動や行事のリアルタイム中継など、自由な発想で活発なICT活用が行われている」と話している。