マツダは、自動車開発を牽引する新たな統合ストレージ基盤として、デル・テクノロジーズのスケールアウトNAS「Dell PowerScale」を採用した。5月20日、デル・テクノロジーズが発表した。モデルベース開発やCADデータの急増に対応したもので、ストレージの容量単価を従来の約10分の1に削減した。
マツダでは、数式や物理モデルを基盤としたモデルベース開発を約30年にわたり推進してきた。しかし近年は、先進運転支援システムの進化などに伴い、実験の計測データや制御システムデータといった設計開発データが年間数百テラバイトのペースで急増。従来のストレージとテープ装置を組み合わせた管理方法では、データの読み出しに時間がかかるなど運用の煩雑さが課題となっていた。また、長年継続利用してきたCAD用ストレージについても、運用プロセスの老朽化やコストの高止まりに直面していた。
そこでマツダは、大容量が必須となるモデルベース開発用と、高いパフォーマンスが求められるCAD用という、異なる要件を単一のシステムで両立できる拡張性を評価し、Dell PowerScaleを採用した。容量と性能をリニアに拡張できる点や管理ツールの充実度に加え、二つのストレージを統合することでコスト削減が見込めることが決め手となった。以前に解析業務用のスーパーコンピューターを同社製品で構築した際、品質と信頼性が高かったことも採用を後押しした。
2025年12月から全面本稼働を開始した新基盤では、メイン環境に「Dell PowerScale A3000L」を、バックアップ用に「A300L」を導入。ノードを追加するだけで容量と性能を柔軟に拡張できる環境を整えた。さらに、状態や利用状況を監視する専用管理ツール「InsightIQ」や、誤消去に備えたスナップショット機能「SnapshotIQ」、筐体間レプリケーションツール「SyncIQ」なども合わせて実装している。
新基盤への完全移行により、ストレージの容量単価は従来の約10分の1に減少した。総容量も従来の約4PBから約2.5倍となる約10PBへ拡大し、テープメディアへのデータ退避作業が不要になった。容量不足や性能低下に関する問い合わせ対応もなくなり、運用管理にかかる時間や工数を削減している。
マツダMDI & IT本部エンジニアリングシステム部主幹の鐡本雄一氏は、「レガシー化していたストレージ基盤をPowerScaleで刷新したことで、加速するデータ増大や運用管理の課題を効果的に解消できた。今後はAIや生成AI活用を下支えするためのデータレイクとしても発展させていきたい」とコメントしている。新たな基盤は、次世代のAIおよび生成AI活用を支えるデータレイクとしての役割も期待されている。