レオス・キャピタルワークスは、固定電話中心の運用から脱却し場所を問わない電話対応体制を構築するため、クラウド電話システム「Zoom Phone」を採用した。5月20日、導入を支援した双日テックイノベーションが発表した。従来のオンプレミス環境と比べて5年間でトータル約20%のコスト削減を見込むほか、AIを活用した通話内容の可視化による業務効率化を進める。
レオス・キャピタルワークスは、投資信託「ひふみ」シリーズを運用する資産運用会社だ。同社では従来、部署ごとの代表電話番号を社内のPBX装置から各席の固定電話に配線して運用していた。しかし、テレワークなどの普及に伴い、代表電話をオフィスでしか受電できず電話対応のためだけに出社せざるを得ない問題が発生していた。また、法令順守のために導入していた通話録音機器やPBXの老朽化が進んでおり、同様のシステムに更新する場合は将来的なデータ蓄積に伴う機器増設などコスト面の負担が懸念されていた。さらに、災害や停電時に電話機能が停止するリスクもあり、事業継続計画(BCP)の観点からも課題を抱えていた。
こうした課題を解決するため、同社は複数のクラウドPBXサービスを比較検討した結果、Zoom Phoneの採用を決めた。選定にあたっては、標準機能として通話録音データを容量無制限かつ無期限にクラウド保存でき、中長期的なランニングコストを抑制できる点を評価した。また、すでにWeb会議システム「Zoom Meetings」を5年間利用しており、品質やセキュリティに対する社内の高い信頼と可用性の実績があったことも決め手となった。さらに、金融事業者に求められる高いセキュリティ水準である「SOC2 Type2」レポートを取得している点も安心材料となった。
導入プロジェクトにあたっては、通常の電話機がクラウド電話に対応していない受付スペースなどのため、双日テックイノベーションのデモ機を用いた事前検証を実施した。また、新しいシステムへの移行に伴う職員の不安を解消するため、双日テックイノベーションが提供するマニュアルの活用や全社向け説明会を3回開催し、スムーズな定着と浸透を図った。2025年9月にすべての代表番号の切り替えを完了し、オフィス内にあった約50〜60台の固定電話はほぼ撤去された。
導入の効果として、オンプレミスPBXを更新した場合と比較して5年間で約20%のコスト削減を見込んでいる。運用面では、パソコンやスマートフォンで代表電話を受信できるようになり、電話対応のための出社が不要になった。また、基本ライセンスに含まれるAI機能「Zoom AI Companion」を全社員が活用しており、通話後の要約や文字起こし、タスクの自動生成により、メモの手間削減や対応漏れ防止などの業務効率化を実現している。さらに、個人番号でも通話録音が可能になったことで、コンプライアンスやカスタマーハラスメント対策の強化にもつながっている。
レオス・キャピタルワークスシステム部部長の鶴留和也氏は、「今回の導入により、性能や運用のしやすさ、コスト削減、BCP対策など多くのメリットがもたらされた。今後は通話データやAI要約を日報や業務システムと連携させ、チーム全体での情報共有の質を高め、より生産性の高い働き方の実現を目指したい」と話している。今後は、通信キャリアとの契約更新に合わせて個人の携帯番号を順次解約し、Zoom Phoneの番号へ一本化することでさらなるコスト削減を進める。