取手市、相談室のカスハラ対策に音声認識と感情解析 10月から正式運用

2026年10月5日11:36|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 茨城県取手市は、相談室でのカスタマーハラスメント(カスハラ)対策として、アドバンスト・メディアのAI音声認識「AmiVoice」を活用した窓口対応向けソリューションの正式運用を10月1日に始めた。10月2日、アドバンスト・メディアが発表した。市民協働課と健康福祉部の相談室・面談室で、相談中の不適切な言葉や感情の高まりを検知し、別室でモニタリングする職員(管理職)へ通知する。市は2025年11月から、自治体初の取り組みとしてテスト運用していた。

 2026年10月1日に施行された改正労働施策総合推進法では、すべての事業主にカスハラ防止のための措置を講じることを義務づけた。地方公共団体の任命権者についても、同法や厚生労働省の指針、総務省からの技術的助言を踏まえ、カスハラ防止に必要な雇用管理上の措置を講じることが求められている。

 取手市は、プライバシー保護などの観点から、市民からの相談の多くを相談室や面談室など閉鎖的な空間で受け付けている。こうした環境では、複数の職員で対応できず、職員が精神的なプレッシャーや不安を感じるケースがある。市は、職員が安心して相談対応に当たれる環境の整備を課題としていた。

 同市は、音声テック関連技術の活用を通じて行政サービスの向上や業務の改善を図るため、アドバンスト・メディアと2021年4月に「音声テック関連技術連携協定」を締結した。2024年4月には内容を見直して再締結している。この協定に基づき、2025年11月から同ソリューションのテスト運用を実施した。市は、カスハラへの一定の抑止効果と職員の心理的安全性の確保に加え、相談履歴の管理を通じた窓口対応品質の向上も期待できると判断し、正式運用に移行した。

 ソリューションは、取手市役所取手庁舎の本庁舎2階にある市民協働課前相談室と、新庁舎1階の健康福祉部面談室に設置した。AI音声認識と感情解析により、相談中の不適切な言葉や感情の高まりなどを検知すると、別室でモニタリングする職員(管理職)にアラートで通知する。

 検知に使うキーワードは、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を基に設定する。自治体の相談業務や運用に応じて、独自のキーワードも追加できる。相談対応中の職員が支援を必要とする場合は、室外にいる管理職らに手動でヘルプを求めることも可能だ。

 相談者と職員の会話はリアルタイムで全文テキスト化し、別室のモニタリング担当者と共有する。担当者は相談内容や経緯を把握したうえで、適切な支援につなげられる。相談内容の音声と全文テキストは記録でき、正確で詳細な相談履歴として蓄積する。あらかじめキーワードと関連資料を登録しておけば、対象キーワードの発話時に資料を画面上へ自動表示する。

 サーバーは庁舎内に設置し、LGWAN環境で運用する。相談内容などのデータはインターネットへ送信せず、庁舎内で管理する。

 取手市総務部次長兼情報管理課長の岩﨑弘宜氏は、自身も市民相談係の業務を経験しており、個室での相談対応、特に職員が1人で対応する場面では大きなプレッシャーがあると説明する。手動ヘルプ機能については、パソコンが隣でもう1人の職員のように支えてくれる感覚で相談に臨めるという。岩﨑氏は、「カスハラを『生まない』環境構築の意味でも期待している。今後はカスハラ対策にとどまらず、相談内容の記録・共有を通じた業務効率化にも役立て、他部署への活用拡大も検討したい」と話している。

ニュースリリース