宮城県利府町は、請求書クラウドサービス「BtoBプラットフォーム 請求書」を採用した。9月10日、同サービスを提供するインフォマートが発表した。紙の請求書処理に年間約3300時間を費やしていたが、デジタル化により業務を効率化し、年間約1200時間の作業時間削減を見込んでいる。
利府町は住民サービス向上や行政事務の効率化、地域全体のデジタル化を見据えたDX戦略を推進している。その一環として、2024年1月に公会計システムの電子決裁機能を先行導入していた。しかし、依然として紙で届く請求書をスキャンする作業が残っており、完全なデジタル化には至っていなかった。請求書1枚ごとのデータ化や原本整理に時間がかかり、年間2万2000件の請求書処理に約3300時間費やされていた。そこで、これらの業務負担を解決するため、「BtoBプラットフォーム 請求書」の導入を決めた。
導入の決め手は、官民問わず多くのユーザーに活用されている点や、町からの招待で取引事業者が無償で電子請求を始められる点だった。これにより、利府町が目的とする地域社会全体のデジタル化にも貢献できると考えた。また、別途利用している財務会計システムとの自動連携実績があったことも決め手の一つになった。
運用開始時点で、約700社の取引事業者のうち3分の1以上にあたる約260社が電子請求に対応した。これにより推定8000件超の請求書が電子化され、年間約1200時間の作業時間削減を試算している。さらに、同サービスを通じて届く電子請求書はフォーマットが統一されているため、会計課での審査も容易になった。従来の紙の請求書では、口座情報などを探してペンでチェックする必要があったが、導入後は不備の迅速な発見や差し戻し時間の短縮、支払遅延の防止にもつながっている。
利府町総務部デジタル推進室室長は、取引先の地場企業はデジタル活用に不慣れな企業が多いだろうと当初は不安に感じていたが、「今回の電子請求への案内は良い機会となった」といった前向きな声も寄せられており、今後の普及に明るい可能性を感じていると話す。
今後は、財務会計システムと「BtoBプラットフォーム 請求書」間のAPIを利用した自動連携を2025年度中に実現する予定だ。利府町は、この連携によって請求から支払に至る業務フロー全体の一層の最適化を図りたい考えだ。