住友商事は、グループ全体の労働災害情報を一元管理するシステム「GENSAI」を構築した。情報共有基盤として、日立ソリューションズが提供する「活文 Managed Information Exchange」を採用。3月13日、日立ソリューションズが発表した。世界63カ国125拠点の事故情報を同一基準で管理し、類似事故の再発防止とグループ全体の労働安全性向上を図る。
住友商事は、鉄鋼や自動車、エネルギー、メディア・デジタルなど多角的なビジネスモデルを展開しており、世界各地の現場で発生する労働災害も千差万別だ。同社は従業員の安全確保を経営課題に掲げ、2022年には労働災害対応の専門組織を立ち上げた。しかし、国や地域によって報告内容にばらつきがあり、事故状況の把握や再発防止策の検討に多大な労力を要していた。また、労働安全業務には高度な専門知識や現場経験が求められ、対応できる人材が限られていることも課題だった。
こうした背景から、住友商事はDXを実現するためのデータベースの構築を模索。既存のパッケージソフトやSaaSでは求める要件を満たすものがなかったため、活文 Managed Information Exchangeを基盤に独自のシステムを構築することを決めた。
採用にあたりリリース、必要最小限の構成で早期に立ち上げ、ユーザーのフィードバックに応じて随時機能を拡張できる点が評価された。住友商事が大切にしている「小さく生んで、大きく育てる」という開発方針に合致した。また、マルチ言語対応や高い操作性、メール通知先を細かく設定できる柔軟性も決め手となった。
システム構築は段階的に進められた。2025年5月に労災事故情報の入力や共有といった標準機能を導入し、同年9月には独自基準による労災レベルの自動判定機能やデータ集計機能を実装した。入力項目を定義してプルダウン形式で記録できるようにしたことで、情報の粒度がそろい、正確な記録と一覧性の向上が実現した。
導入の効果は多方面に表れている。独自基準による労災レベルの自動判定を導入したことで、担当者の経験差による判断のばらつきが抑えられ、業務負荷が軽減された。これにより、安全管理の未経験者でも必要な業務を確実に実行できるようになり、特定の担当者への依存状態が改善された。また、類似事故の予防を通じて、医療費や事故対応に伴う間接コストの削減も期待できる。
住友商事災害・安全対策推進部労働安全チーム長の横田雅彦氏は、活文はスモールスタートが可能で機能を拡張していける点に大きな魅力を感じたと述べている。さらに、日立ソリューションズの関係者が新たなフィールドへの挑戦に高い共感を持って取り組んでくれたことも採用の大きな要因だったとしている。今後はパートナーとして、AIによる事故原因の分析など、さらなる機能向上に取り組んでいく。
住友商事は今後、蓄積した過去の事故情報から原因を分析するなど、AIを効果的に活用して労働安全の取り組みを加速させる。