東武トップツアーズは、社内に蓄積された膨大なデータを横断的に活用するため、SparkPlusが提供するAIエージェント「ORION」を採用した。3月13日、SparkPlusが発表した。営業担当者のノウハウが個人に蓄積される属人化の解消や、情報検索の効率化を図る。全社的なナレッジ基盤の構築を推進し、顧客への提案品質と業務スピードの向上を目指す。
東武トップツアーズは、全国に営業拠点を展開する旅行会社大手だ。同社ではこれまで、業務マニュアルや過去の提案資料、収支管理データなどが各部署に分散して蓄積されており、必要な情報にたどり着くまでに時間を要する状況にあった。特に旅行・観光分野では自治体や教育機関との連携案件が増加しており、組織としての知識継承と、迅速な情報整理に基づく提案能力の強化が急務となっていた。
こうした課題に対し、東武トップツアーズは社内データを「使える知」へ転換する基盤としてORIONを選定した。ORIONはPDF化された紙資料や図表、グラフ、画像を含む文書に対応しており、旅行業界特有の多様なデータ形式を横断して参照できる点が評価された。
導入にあたり、まず社内データの整備と最適化を実施した。フォルダ構造の再構築や重複ファイルの整理、データ形式の標準化を行った結果、実運用対象のデータ量を約99%圧縮することに成功した。これにより、AIの検索精度向上と応答速度の高速化に加え、インフラ運用コストの最適化も同時に実現した。データの量ではなく質を追求することで、実務で活用できるAI基盤を構築した。
ORIONの導入により、複数の部門で業務改善効果を見込んでいる。具体的には、社内規程やマニュアルに関する問い合わせに対し、担当者の経験に依存せず同品質の回答が可能になる。また、他支店や他担当者が作成した過去の提案資料を容易に検索・参照できるようになるため、部署間の情報格差を是正し、営業支援の強化につなげる考えだ。
東武トップツアーズ代表取締役副社長執行役員の脇坂克也氏は、社内にはさまざまなデータが蓄積されていたが、横断的に活用する仕組みが不十分だったと指摘する。ORIONの導入により、社員が必要な情報に素早くアクセスできる環境が整いつつあるとし、まずは選定部署での運用を通じて効果を検証し、段階的に活用範囲を広げていきたいとしている。
今後は、社内手続きに関する問い合わせ対応の効率化を皮切りに、複数の部署へ順次展開していく計画だ。将来的には、各部署に構築されたAIエージェント同士が自動で連携する「Agent-to-Agent(A2A)」構想の実現も視野に入れている。さらに、社内DXで培った知見を活用し、観光や地域活性化領域における新たなサービス創出への展開も検討していく。