京都府は、庁内ファイルサーバーと仮想化基盤を統合する大容量ストレージ基盤の運用を開始した。導入と運用を支援するネットワンシステムズが12月17日、発表した。容量は1.5PB(ペタバイト)で、契約期間は10年間。逼迫していたファイルサーバーの容量不足を解消するとともに、システム更新に伴う職員の調達負荷を大幅に軽減する。
京都府は全庁的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、府民サービスの安定提供と職員の業務効率化、およびセキュリティ強化に取り組んでいる。しかし、庁内システムの運用においては、ファイルサーバーの容量が逼迫していたことに加え、複数の仮想化基盤が散在することで運用負荷が増大していた。将来の環境変化に柔軟に対応できる基盤を整備するため、これらを同一のストレージに集約する統合方針を策定した。
新たな統合ストレージ基盤として、ネットワンシステムズが提案したピュア・ストレージ(Pure Storage)のオールフラッシュストレージ「FlashArray」を採用した。選定においては、将来的なデータ増加に対応できる有効容量1.5PBの大容量である点や、ランサムウェア対策機能を備えた高いセキュリティ性能を評価した。
また、今回は10年間の長期契約による運用スキームを採用している。従来のシステム更改サイクルでは、調達や移行作業に1年規模の工数が繰り返し発生し、職員にとって大きな負担となっていた。今回、10年以上の長期サポートが可能で、計画的に容量や性能を拡張できるモデルを採用したことで、長期安定運用と調達業務の大幅な削減を両立した。新基盤は12月から稼働を開始している。
新基盤の導入により、重複排除などのデータ削減技術を活用して各部局へ柔軟に容量を割り当てることが可能になった。また、ランサムウェア対策による安全性向上に加え、システムトラブル時の復旧スピード向上も見込んでいる。ネットワンシステムズとピュア・ストレージによるサポート体制も整え、長期運用に伴うリスクに対応する。
京都府総合政策環境部情報政策課参事の梅田佳宏氏は、「10年以上の長期運用により、職員の調達負荷を大幅に軽減し、府民サービス向上のための業務に集中できるだろう。大容量ストレージ基盤を活用することで、将来的には自団体以外へのサービス展開も視野に入れたい」と話している。今後はこの統合基盤を、データ利活用の高度化や新たな行政サービスを支える基盤として活用していく考えだ。