生方製作所は、経営管理の高度化と将来のAI活用に向けた基盤整備を目的に、SAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」を中心とした次世代基幹基盤の構築を開始した。2月3日、SAPジャパンと導入パートナーのワンアイルコンサルティングが発表した。標準機能を活用する「Fit to Standard」アプローチにより業務の抜本的な再設計を図り、持続的な成長を支える強固な経営基盤の確立を目指す。
生方製作所は名古屋市に本社を置く製造企業。2004年にSAP R/3を導入して以来、2020年には「SAP S/4HANA Cloud Private Edition」へ移行するなど、20年以上にわたってSAP製品を基幹システムとして活用してきた。同社はアドオン(追加開発)を抑えた運用を続けてきたが、既存環境のバージョンアップを繰り返す中で、業務プロセスの刷新や新たなビジネス価値の創出が難しくなっていることが課題となっていた。
こうした状況を受け、同社は既存システムの延長線上での対応ではなく、最新の業務機能や制度対応がクラウドサービスとして提供されるPublic Editionへの移行を決断した。採用にあたり、製造業に必要な業務プロセスを標準機能で幅広くカバーしている点に加え、将来的なユーザー増や拠点追加にも柔軟に対応できるクラウドネイティブな拡張性を評価した。
プロジェクトでは、財務会計や管理会計、販売、生産、購買・在庫、品質管理といった主要な基幹業務を対象とする。SAPが提供する標準機能を前提とした業務設計を進めることで、人手による個別対応を廃し、経営管理を継続的に改善できる体制を整える方針だ。まずはPublic Editionで業務の標準化と効率化を実現し、その後、既存のPrivate Edition環境からの移行を段階的に進める計画としている。
今回の刷新は、単なるシステム更新ではなく、将来のビジネスAI活用を見据えたデータ基盤の整備としても位置づけられている。ERPを通じて業務データを一元管理することで、データの信頼性を高め、将来的には予実管理や業績の着地点予測、原価管理の精緻化、現場業務の自動化など、AIを駆使した迅速な意思決定や業務の高度化に取り組む。
生方製作所代表取締役社長の生方眞之介氏は、「SAP ERPの導入から20年以上が経過し、システムが次第に業務を処理するためだけの仕組みになっていた。システムを維持・更新すること自体を目的とするのではなく、業務の進め方そのものを見直し、将来に向けて改めて経営改革し直す必要があると判断した」としている。