北陸電力は、グループ全体でのDXによる業務改革を推進するため、サイボウズの業務改善プラットフォーム「kintone」を採用した。6月24日、サイボウズが発表した。すでに本社での全社導入により年間約3万時間の業務時間を削減しており、その成果をグループ18社へ展開。教育や支援の体制を一元化して伴走支援を行うことで、現在はグループ横断で約7000ユーザーが共通基盤として活用している。複数社間におよぶ申請業務のオンライン化や現場主導のアプリ開発が進み、グループ全体で現場主導の業務改善ができる体制を確立した。
北陸電力は、富山県富山市に本社を置き、北陸3県を中心に電気の供給を行う電力会社だ。同社は中期経営計画で既存の電気事業の生産性向上を掲げており、業務改革やDX推進等の取り組みを進めている。その中で、増加するデジタル活用ニーズへの対応や現場の改善アイデアを迅速に実現するための体制強化が急務となっていた。一部の専任担当者だけでなく、現場の業務をよく知る従業員が自らアプリケーションを作成してスピーディーにDXを実現できる環境を求め、プログラミング知識が不要なkintoneの採用を決めた。導入検討時にはJBCCの協力のもとで勉強会を開催し、集まったアイデアから効率化効果を試算したことが全社導入を後押しした。
同社はまず、毎年1回全社員が提出する申請書類の提出システムをkintoneで構築した。誰もが必ず一度は触れるワークフローを起点にしたことで社内への定着が進み、部門ごとに異なっていた承認フローが全社で統一される効果も生まれた。導入から約2年で開発された現場主導のアプリは約750にのぼり、年間約3万時間の業務時間削減を達成した。
本社での成果を踏まえ、導入の1年後からはグループ会社への展開を開始した。専任のシステム担当者がいない会社もあることから、本社で開発した約20の共通アプリを横展開したほか、似た業務を行う支店間での改善策の共有を推進した。この広範な展開を支えるため、本社DX部門が教育を担い、IT関連のグループ会社である北電情報システムサービスが問い合わせ窓口の一本化やFAQの共有、ポータルサイトの運用などの支援を担当。2025年度にはグループ全体で100回を超える勉強会を開催し、延べ1200名が参加するなど、グループ一体での教育・支援体制を集約した。
導入効果として、通勤・住居・出張申請といった複数社間におよぶバックオフィス業務が、kintoneのゲストスペース機能を活用したオンライン上で完結するようになり、紙や郵送、手入力の煩雑さが解消された。また、火力発電所における部品の調達履歴を管理するアプリなど、電力会社特有の現場業務の効率化にも貢献している。ガバナンス面では、共有スペースで作成されたアプリをDX部門が審査した上で本番環境へ移行する仕組みを整え、安全性を担保している。
今後は、水平展開可能な共通アプリケーションの整備や利用者コミュニティの構築を継続し、グループ全体のスキルの底上げに注力する。さらに、グループ各社の業務データが集まる共通基盤として、蓄積されたデータベースを活用したAI活用なども視野に入れている。