JFEスチール、高度DX人材1200人育成へ STANDARDと3職種向けプログラム始動

2026年6月25日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 鉄鋼メーカーのJFEスチールは、2027年度末までに1200人の高度DX人材を輩出することを目的に、新たな人材育成体系を構築した。システム開発やDX推進支援を手がけるSTANDARDの伴走のもと、自社の事業特性に即した実践型の教育プログラムを設計し、2025年度より本格稼働させている。6月24日、STANDARDが発表した。全社共通の育成基準を確立したことで、現場から募集上限を超える応募が殺到するなど、自発的なスキルアップを後押しする環境が整った。すでにAIを活用した業務改革案や、生産性・歩留まり向上に直結する分析施策が多数創出され、収益貢献が始まっている。

 JFEスチールは、第8次中期経営計画において、業務プロセス改革と生産プロセスにおけるCPS(サイバー・フィジカル・システム)の深化を掲げている。これまでも各部門で先行的にDXの取り組みが進められていたが、全社規模でのCPS深化を実現するには、DX人材の定義や認定基準を統一し、育成状況を可視化できる共通基盤の構築が必要だった。また、キャリアパスを明確に提示し、自律的な学びを促進する体系的な教育プログラムの整備も課題となっていた。

 そこで同社は、経済産業省のデジタルスキル標準を踏まえつつ、独自の「3職種×4ステージ」からなる育成体系を設計した。対象となる高度DX人材は、ビジネスプロセス変革をリードする「ビジネスイノベータ」、高度な分析スキルで製造工程の品質・生産性向上に貢献する「データサイエンティスト」、RPA・BIツールなどの活用からプロダクト設計・開発までを担う「デジタルデザイナー」の3職種で構成される。各ステージに明確な到達要件と目標人数を設定し、組織全体で成長の基準となる共通の「ものさし」を共有する仕組みを構築した。

 プログラムの設計にあたり、STANDARDと約3カ月にわたり議論を重ねた。単なるカリキュラムの構成にとどまらず、社内公募の方法や浸透施策まで両社で共創し、JFEスチールの事業特性に合わせた完全オリジナルのコンテンツを開発した。

 各コースの研修では、座学にとどまらない実践的なアプローチが取り入れられた。ビジネスイノベータコースでは、受講者が実業務の課題を持ち寄り、STANDARDのコンサルタントが伴走して具体的な変革テーマを企画化。データサイエンティストコースでは、受講者が製造工程の実際のデータを用いた分析に取り組み、その成果を共有・議論して互いに高め合うプロセスを重視した。デジタルデザイナーコースでは、ユーザー起点のアジャイル開発を習得するプログラムを完全オリジナルで開発。昨今の生成AIの発展を踏まえ、ローコードツール「Copilot Studio」を認定要件に追加するなど、変化に合わせた柔軟な運営が行われている。

 新プログラムの導入で、現場の自発的な学びへのニーズが顕在化し、複数コースで募集上限を超える応募が集まる成果が見られた。すでにビジネスイノベータ研修からは業務改革案、データサイエンティスト研修からは生産性向上に資する分析施策が複数生まれており、経営層への報告につながる企画も創出された。また、デジタルデザイナーによるRPA等の活用により、業務効率化も進展している。

 同社でDXの教育カリキュラムを企画・導入したDX企画部の山口収氏は、「最新のデジタル技術の紹介にとどまらず、本質的には課題発見力やユーザー視点を重視しており、他部門も含めた広い視野で業務を捉える重要性を学べる点が大きな強みだ」と評価している。また、デジタル化推進部の大堀真生氏は、「初の取り組みであったDX人材研修は想像以上の反響を呼び、受講者から多様な要望が寄せられたが、柔軟かつ迅速に対応いただいた。当社のDX人材育成の方向性がより明確となり、全社的な推進基盤を整備することができた」と話している。

ニュースリリース