大阪けいさつ病院は、病院向け屋内位置情報サービス「Beacapp Here Hospital」を導入した。7月2日、同サービスを提供するビーキャップが発表した。医療機器の所在をリアルタイムで可視化することにより、従来最大4時間かかっていた医療機器の探索時間を1時間未満に短縮し、医療従事者の業務負担軽減と効率的な機器運用を進めている。
大阪けいさつ病院は、従来の大阪警察病院と第二大阪警察病院が統合し、2025年1月に新病院として開院した。病床稼働率が95%を超えるなど極めて高い回転率で運用されており、看護師をはじめとする現場の業務負担軽減が急務となっていた。そこで業務改善に向けたデジタル技術の活用として、全職員に共通の業務基盤となるiPhoneを配布。広い院内において人やモノの位置情報を正確に把握できるシステムを検討し、職員のiPhoneを活用して院内全体を網羅できる点を評価してBeacapp Here Hospitalの採用を決めた。
導入前は、必要な機器が見当たらない場合に電子カルテの履歴確認や各部署への電話確認、現場での聞き取りなどを行って探す必要があり、確保までに3~4時間を要することがあった。特に棚や引き出しに保管された機器は見つけ出すことが難しく、本来の業務を圧迫していた。
現在は医療技術部臨床工学科において、移動が多く台数に限りのある人工呼吸器やペースメーカーなどの医療機器約60台を対象に運用している。対象機器にビーコンを取り付け、その電波を職員のiPhoneが受信することで、院内900カ所の検知エリアから位置情報をリアルタイムに可視化する。また、ME機器貸出室と返却室には専用の受信機を設置し、室内の保管状況も管理している。臨床工学科では、メンテナンスや緊急対応の要請があった際、システムで所在を確認してから保管場所へ直接向かう運用を行っている。
導入後は、機器がどの部屋にあるかを事前に把握できるため、探索にかかる時間がほとんど移動時間のみとなり、1時間未満への短縮につながった。また、所在情報から使用状況の予測も立てやすくなり、次に使用できる機器の見極めもスムーズになった。位置情報の活用により、現場の看護師などから新たな活用アイデアが寄せられるようになるなど、院内のDXに対する意識改革にもつながっている。
今後は、視覚や聴覚に不自由がある患者へのスムーズな案内など、患者の利便性向上や、院内の動線・混雑状況の把握へ位置情報基盤を活用していく。既存のシステムとの連携を進め、現場から集まるアイデアの実現を目指す。