ファイントゥデイ、基幹システム刷新を1年で完遂 Fit to Standard徹底で期間半減
ファイントゥデイインダストリーズは、資生堂からの独立に伴う基幹システム刷新を目的に、生産管理パッケージ「mcframe 7」を採用した。10月6日、mcframe 7を提供するビジネスエンジニアリングが発表した。「Fit to Standard」の方針を徹底することで、通常2年は要するとされる規模のシステム導入を1年で完了。ハイパーケア期間(システム稼働直後の特別なサポート体制期間)も計画より半月短縮して安定稼働を達成した。属人化していたデータ管理を標準化し、投資対効果の高いシステム基盤を構築したという。
資生堂のパーソナルケア事業を前身とするファイントゥデイグループは、2021年の独立に伴い、事業運営に不可欠な各種ITシステムを自前で構築する必要に迫られた。特に生産を担うファイントゥデイインダストリーズの基幹システムは、資生堂との移行サービス契約(TSA)により、1年以内という短期間での刷新が求められていた。既存システムはスクラッチで開発され、長年の作り込みを経て業務プロセスがシステムによって固定されている状況だった。また、データが社内に散在し、担当者による300本ものSQLスクリプトでデータ取得が行われるなど、属人的な運用も課題となっていた。
期限とコストの制約が厳しい中、同社は会計・販売領域にはSaaS型ERPを、生産・原価管理といったものづくりの中核領域には、日本の製造業への導入実績が豊富なmcframe 7を選定した。導入パートナーには、製品仕様と活用ノウハウに精通したキッセイコムテックを起用。プロジェクトでは、パッケージの標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」を絶対的な方針とし、経営層が「納期>コスト>品質・機能網羅性」という明確な優先順位を打ち出した。この方針を徹底するため、投資対効果の観点からトップダウンでアドオン開発の要否を判断する「Fit to Standard審議会」も設置。カスタマイズは業界特有の法対応や帳票といった必要最小限の範囲に抑えた。
プロジェクト推進にあたっては、生産計画や購買といった領域ごとに、ユーザー部門、IT部門、導入パートナーの3者によるリーダー体制を敷き、それぞれの役割を明確化することで、迅速な課題解決と意思決定を促した。当初、パッケージ標準に業務を合わせる手法に現場からは戸惑いの声もあったが、キッセイコムテックが業務内容を深く理解し、用語の違いなどを丁寧に説明することで解消していったという。
今回の刷新により、スケジュール通り1年での安定稼働を達成。散在していたデータはmcframe 7に一元化され、属人的な運用から脱却し、データ活用がしやすい環境が整った。開発要求も当初の見込みより抑制され、投資対効果の高いシステムが実現したとしている。同社は今後、蓄積されたデータの分析・活用を進める方針だ。