カシオ計算機(カシオ)は、ECサイトの安定運営とブランド価値の保護を目的に、Akamai Technologies(Akamai)のボット管理ソリューション「Bot Manager Premier」と、高度なスクレイパーを阻止する「Content Protector」を採用した。Akamaiが12月2日に発表した。人気商品の販売時に多発していたボットによる不正アクセスを遮断し、グローバルEC基盤の信頼性を大幅に向上させた。今後は、巧妙化するサイバー攻撃に対応するため、Akamaiソリューションを活用し、継続的にセキュリティを強化する方針だ。
カシオは「G-SHOCK」などの時計事業を主力とし、海外での売上比率が8割を超える総合電子機器メーカー。直営EC事業も拡大しており、サイバー攻撃などの脅威への対策として「情報セキュリティの強化」を経営の重点方針に掲げている。
同社はこれまで、直営ECサイトの安定運営に取り組んできたが、近年、限定モデルの発売時にボットやAIによる自動購入が横行し、サイトの安定運営を脅かす事態が発生していた。特に、ある地域では新商品の販売時にDDoS攻撃を疑うような規模のボットアクセスがあり、その影響がグローバル規模のECサイトにまで波及し、数日間にわたりサイトが正常に利用できなくなった。こうした事態を受け、同社はボットへの対応と売上確保を重要な課題として取り組むことになった。
対策として、まずBot Manager Premierを導入し、ボットの可視化とアクセス遮断を実現した。さらに、進化するボット攻撃に対応するため、コンテンツスクレイピングに有効なContent Protectorを採用した。
Content Protectorの導入により、月間3000万から4000万件にのぼる不要なスクレイピングリクエストをブロックできるようになった。これにより、人気商品の販売時にも安定した販売処理が可能になり、グローバルEC基盤の信頼性が向上した。また、従来のレートコントロールでは検知できなかった、分散して試みられるボットリクエストも逃さず検知・遮断することが可能となった。2025年に発生した大規模なDDoS攻撃に対しても、副次的な防御効果を発揮した。さらに、AIによる効率的な検知手法で、運用コストとチューニング工数の削減も実現した。
カシオ デジタルイノベーション本部 サービス開発部の笹沢啓太部長は、サイバー攻撃がAIを駆使して巧妙化している現状を挙げ、「Akamaiには、常に最新の攻撃にも安心して対応できるソリューションを提供していただきたいと期待している」と語った。
同開発グループの吉澤脩リーダーは、「『CASIO』ブランドの維持には、グローバルECサイトの安定運営とスクレイピング対策が不可欠である。Akamaiには今後も継続的な支援をお願いしたい」とコメントしている。