河合楽器製作所は、ラクスのクラウド型経費精算システム「楽楽精算」を採用し、全国の拠点を含む約1700人を対象に本格運用を開始した。8月27日、ラクスが発表した。電子帳簿保存法(電帳法)への対応で生じていた紙とシステムの二重運用を解消し、年間約2400時間と見込まれていた業務工数の増加を抑制した。月間で最大8000枚の帳票削減にもつながった。
ピアノの製造・販売などをグローバルに展開する河合楽器製作所では、全社的にペーパーレス化を推進していた。一方、経費精算や請求書処理では、紙帳票の管理・保管に多くの工数を要していた。全国の営業拠点や事業部ごとに申請様式や運用ルールが異なり、締め日前には大量の領収書や請求書が本社に郵送されるため、処理の遅延や業務の集中が恒常的な課題となっていた。
さらに、既存のグループウェアのワークフロー機能で電帳法に暫定対応した結果、紙による申請・承認に加え、電子保存のためのワークフロー申請も必要になった。申請者と経理部門の双方に二重の作業負担が生じ、年間約2400時間の追加工数が見込まれる状況に直面していた。
こうした負荷を解消するため、経理部門と情報システム部門は連携して新たなシステムの検討に着手した。詳細な試算により、年間1000万円以上のコスト削減効果が見込めることを示し、社内合意を得た。選定では、大手企業における運用実績の豊富さに加え、申請者・管理者双方にとっての操作性、専門知識がなくてもノーコードで設定を変更できる保守性を評価し、楽楽精算を採用した。
全国の拠点への定着に向けては、段階的な移行プロセスを採った。まず、PC操作に慣れた本社近郊の数百人から運用を始め、約2カ月間の検証を経て、対象を全国の営業拠点へ拡大した。申請項目についても、判断しやすい交通費や立替経費から導入を開始した。スマートフォンで撮影したレシートによる精算を浸透させた後、出張精算や取引先への請求書払いへと、順次適用範囲を広げた。
社内通達の発信、マニュアル整備、説明会の実施を徹底した結果、運用定着後の経理部門への問い合わせは月20件程度にとどまり、約1700人が利用する体制を確立した。
システムの本格運用により、月間で最大8000枚の紙の領収書・請求書を削減し、印刷費や保管費などの間接コストを低減した。申請から承認までをオンラインで完結できるようになり、電帳法対応に伴う二重業務が不要になった。経理担当者の突合・確認作業の負荷も軽減した。
また、締め日を待たずに申請が随時提出されるようになったことで、月末・月初に業務が集中する状況も緩和された。全国拠点で異なっていた申請様式や運用ルールも一元化され、経理処理の迅速化に加え、社内ガバナンスの強化にもつながっている。
河合楽器製作所は今後、これまでの運用で得たノウハウを生かし、為替レートの個別換算を伴う海外出張精算や、各拠点で扱う現預金の精算など、より複雑な業務領域の効率化を進める。