パナソニックグループは、国内製造26拠点の基幹システムをSAPのERP「SAP S/4HANA」へ刷新し、業務基盤を統一した。9月11日、刷新プロジェクトを主導したパナソニック デジタルが発表した。拠点ごとに個別最適化されていた業務プロセスの標準化を進め、アドオンモジュールを7割削減した。グループ全体のDX推進に向けたデータ基盤の整備と運用コストの圧縮を図る。
パナソニックグループの国内製造拠点では従来、部品表管理や調達・購買、製造管理、原価管理などの基幹業務に「SAP ECC 6.0」を活用していた。しかし、2025年12月に保守サポート終了を控えていたほか、拠点ごとにERPのカスタマイズや独自のアドオンモジュール開発が進んだことで業務が個別最適化し、法改正やバージョンアップに伴う保守工数やITコストの高止まりが課題になっていた。また、グループのDX戦略である「Panasonic Transformation(PX)」を推進する上でも、業務プロセスとデータの標準化が急務となっていた。
プロジェクトでは、家電などのB2C製品や業務用空調などのB2B製品を手がける国内製造26拠点を対象に、約2800ユーザーが利用する基幹システムをSAP S/4HANAへ刷新した。調達や経理といったグループ共通ルールに関わる部分は徹底して標準化する一方、製品競争力に直結する固有業務を切り分け、共通機能と事業固有機能を組み合わせた製造テンプレートを構築した。これにより、アドオンを従来比で7割削減した。
展開にあたっては、最大7拠点で並列導入を進めるとともに、タスクを体系化した標準導入モデルを作成。SAP ECC 6.0を利用していた拠点では標準工期を7カ月に設定し、2021年から2025年にかけて順次移行を完了させた。現場の合意形成に向けては、職能部門の責任者との協議を重ねたほか、変化の大きい事業会社では各工場のキーマンと数十回に及ぶ説明会を実施して理解を促した。
基幹システムの刷新と統一により、グループ内での横の連携が強化され、他拠点の知見やノウハウを共有しやすくなった。さらに、全拠点の製造データを同一基準で比較・分析できる環境が整ったことで、将来的なAI活用を含めた事業変革の加速につなげる。